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2010年3月30日 (火)

映画で見るベトナム戦争の真実:2本目

6月19日から公開される2本のベトナム戦争をめぐるドキュメンタリーのうち、『ハーツ・アンド・マインズ』(74)については先日書いたが、もう1本の『ウィンター・ソルジャー』(72)もまた衝撃的な映画だった。前者はいろいろな立場の証言や現場の映像も多かったが、こちらは副題の「ベトナム帰還兵の告白」が示す通り、帰還兵たちへのインタビューが大半を占め、時おり彼らの戦場の写真などが挿入されている。白黒の粗い映像が実にリアルだ。

彼らのほとんどは、戦場では正しいことをしていた、国家のための仕事をしていたと思っていたが、帰国してやはりおかしいと思いだし、公衆の前で話す決意をする。ホテルのホールで公聴会が開かれ、100名を超す帰還兵の話が続く。
捕虜を飛行機から何十人も投げてしまう話に始まって、村を焼き打ちにしたり、民間の村人を殺したり。死んだら、民間人でも全部ベトコンだったということにしてしまう。殺したベトナム人の耳を持ち帰り、一日で数多くの耳を持ち帰った者にはビールの御馳走が待っているというゲーム。

彼らのほとんどが言うのは、「東洋人gooksは人間ではないと教えられた」という台詞だ。もっと衝撃的なのは、ある兵士の「日本への原爆投下が正しかったように、国家の大きな目的のためには民間人を殺してもいいと思った」という言葉。1971年において、「原爆が正しかった」という教育が少なくともアメリカの軍隊ではなされていた。日本では前年に万博が開かれ、大喜びで月の石を展示していたのに。
ある観客の黒人が公聴会場で「おまえたちの話には人種差別の視点が欠けている」と指摘し、物議をかもすシーンもおもしろい。「よっぽど優秀でなかったら軍隊に行くくらいしか、黒人には仕事がないんだよ」と。その議論は深まらなかったが、彼は明らかに正しかった。

この映画はベルリンやカンヌで好評を得たにも関わらず、日本では公開されていない。
イラクへの派兵が日本でも議論されている今日、この2本は必見だ。この2本の前に、『ハート・ロッカー』などは吹っ飛んでしまう。新聞や雑誌やテレビは、この2本を軸にベトナム戦争勃発から50年の特集を組んだらどうだろうか。

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