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2010年3月20日 (土)

等伯を夜間開館で見る

上野の東京国立博物館で「長谷川等伯」展を見た。22日までなので夜間開館でも相当の混雑で、入り口で10分ほど並んだ。
夜の7時頃なのに、とにかく人が多くて見られない。ちょっと後悔を始めたが、次第に人が少なくなり時々至近距離に近づくことができて、その魔術のような多様なスタイルに、ため息の出るような瞬間を味わった。

冒頭の仏画も興味深いが、やはりおもしろくなるのは前半の終りの金碧画から。秀吉に頼まれた《楓図壁貼付》や《松に秋草図屏風》のこれでもかというような豪華さと繊細さ。《柳橋水車図屏風》の不可思議な柳の表現も忘れ難い。

そして後半は「黒の魔術師」と題された水墨画の数々。私は特に《竹林猿候図屏風》の、とがった線で表現された猿が印象に残った。最後は言わずと知れた《松林図屏風》。これはこの博物館所蔵なのでこれまでにも何度も見たが、多様な等伯を見た後で見ると、感慨深い。松林を包む濃い霧を、余白を多用して表現した謎のような絵だ。遠くから見ると近づきたくなり、近づくと何も見えないので遠ざかりたくなる。

夜の7時から8時過ぎまでに大勢いた観客は、ほとんどが仕事帰りの感じで一人で来た人が多い。昼間によくいる「とにかく有名だから来た」ようなグループもいなくて、いい感じの客層だった。女性が少し多いくらいで、世代はばらばら。ただ20代から30代の男性は少なかった。
16世紀の日本の国宝を仕事帰りに見る人がこんなにいるとは、日本は「文化国家」である。あと3日しかないが、どうせ閉館時間は延長されるので5時半少し前に着けば、1時間は見られると思う。昼間はたぶん混雑で絵に近づけない。
その後、京都国立博物館に巡回。

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