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2010年3月 2日 (火)

青山真治の小説に見るカンヌの魔力

青山真治監督が昨年末に出した小説『地球の上でビザもなく』を読んだ。妙に題名が気になったからだ。小説としてよくできているかは別にして、映画監督という存在の栄光と孤独が痛いように伝わってくるという意味で大変おもしろかった。そして最後まで読むとカンヌ映画祭という存在が、いかに映画人を狂わす魔力を持っているかがわかる。

物語は39歳の映画評論家を主人公に、自殺してしまった友人の監督と天才と言われる50代の監督とのやりとりを中心に、プロデューサーや音楽監督、それぞれの妻などを交えて描く。どうしても最初は、出てくる登場人物ごとにこれは誰のことだろうと勘ぐりながら読んでしまう。大島渚や山根貞男、カンヌの総代表であるティエリー・フレモーなども実名で出てくるから、あおさらそうだ。

天才監督、高遠は言う。「宗教はアヘンだ、どころではない。映画こそ麻薬だ。だから映画をやることはそれだけで制度への抵抗になる」「映画にエンターテインメントとアートフィルムの違いはない」。
カンヌについて主人公は語る。「映画の血が脈々と流れる稀少な聖地であることは確かだった」「それでもあそこはやはり、国籍も人種も超えて、映画が、映画だけが主役となる本物の祭典だった」。

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