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2010年3月28日 (日)

日本映画のイタイ若者たち

最近の日本映画を見ていると、普通の就職をせず思い通りにいかない生活を送る若者たちのイタイ姿を描いたものが、ずいぶん多いような気がする。そんな映画の試写を2本見た。5月22日公開の『パーマネント 野ばら』と5月29日に封切る『ヒーローショー』。

『パーマネント 野ばら』は、西原理恵子の漫画を原作に、高知の漁村を舞台にした映画だが、見ていて笑いが止まらない。『クヒオ大佐』もそうだったが、吉田大八という監督はキャストの選び方が絶妙だ。例えば、おばさんたちのたまり場のパーマ屋の女主人を演じる夏木マリが、本物のようにぴったりだ。あるいはその夫の宇崎竜堂のオヤジ具合がいい。二人ともこれまでのプライドを捨てて演じているように見える。
喪服のおばさんたちが海岸に集まって、そのうちの一人が泣いて海に飛び込もうとし、みんなが追いかけるシーンなんか絶妙だ。だけどうますぎて、本当に訴えたいはずの、菅野美穂の悲しい物語がどこかに飛んでしまっているようにも見える。

井筒和幸監督の『ヒーローショー』は、ユウキという名前の2人のフリーターが、ふとしたところから暴力沙汰に巻き込まれる話だが、それを演じるジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介が抜群にいい。しかしながら物語はこれまでの井筒監督の『パッチギ!』や『ゲロッパ!』に比べて停滞気味で、なぜ彼らがこんな事件に巻き込まれるのか、もう一つわからない。それでもこの2人の顔つきや演技はいいし、暴力のシーンの迫力もすごいので、どこか不消化な感じが残りつつも、134分を一気に見てしまう。

イタイ若者を描いた映画なら、この2本に比べるといささか荒削りだが、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(6月12日公開)の一歩先が全く見えない切実さを買いたい。

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