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2010年3月12日 (金)

『ビルマVJ』の衝撃

5月に公開されるドキュメンタリー映画『ビルマVJ』の試写を見て、衝撃を受けた。これは2007年のミャンマーで起こった僧侶たちの叛乱を隠し撮りしたものが中心で、その始まりから弾圧までが揺れ動く手持ちのカメラで撮られている。

僧侶たちが政府への不満を口にし、それが大きな動きになってゆく。ミャンマーで軍政に対抗できるのは、僧侶だけだという。大きな道路を練り歩く何千人と言う僧侶たちと、それを支持して集まり、あるいはアパートから手を振る市民たち。
撮影していると警官が近づいて来て、急に画面は揺れて真っ暗になる。この繰り返しだ。ビルマ人のビデオ・ジャーナリスト(VJ)たちが命がけで撮った無数の映像が集まっている。豪雨の中をアウンサンチーを訪ねるデモ隊の姿や、警察によって殺された日本人ジャーナリスト長井健司氏もしっかりと映っている。
VJたちは「ビルマの民衆の声」というグループを作り、撮影した素材をオスロの持ち出し、世界に配信していた。我々が日本のニュースで見た映像の大半は、彼らのもののようだ。

映画が誕生した時の最初の大きな役割の一つは、普通には見ることのできないものを大衆に見せることだった。だからリュミエールやエジソンは世界中にカメラマンを送った。その意味でこの作品は、映画の持つ原初的な役割を果たしている。映像を見ることで、真実がわかることがあるとつくづく思った。だから再現映像のような部屋の中の電話のシーンは、ちょっと興ざめだった。
監督はデンマークのアンダース・オステンガルド。

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