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2010年4月24日 (土)

『1Q84』第3巻を読む

前にも書いたが、四半世紀前の学生時代の頃から、村上春樹はどこか好きになれなかった。これまでの小説はたぶん半分くらいしか読んでいないし、手元にある『!Q84』の1、2巻も奥付を見ると9刷と11刷だ。で、今回初めて村上の小説を初刷りで買った。1年前から社会生活を「降りた」ので、世の流行について行こうとしているのかもしれない。

相変わらず読みやすく、電車の中だけで読んでも3日で終わった。
読み終えての感想は、ずいぶんまとめましたね、という感じか。終りで幼馴染の主人公2人が「1Q84」=「猫の町」から「1984」に移って、赤プリの部屋で月を見ながら結ばれるというのは、まるでバブル期の連ドラみたいじゃないですか。新興宗教やゴーストライターといった今日的問題が背景に退き、自分の出生の秘密と父の死、そして幼馴染との再会に向けてページが割かれる。それを牛河という探偵が追いかけるが、彼の登場が成功したかは疑問だ。
実を言うと9カ月前に読んだ1、2巻の内容をかなり忘れていた。どうも村上の小説は、私の記憶にひっかからない。だけど朝日新聞で斎藤美奈子氏が書いていたように「内容を忘れていても彼(=牛河)が記憶を補ってくれる」。斎藤は続ける。「読者の希望にピタッと沿った注文建築並みの親切設計。究極の純愛小説はお伽話に限りなく近づく」。うまい分析だ。

小説の終り頃にこういう文章がある。「これからはこれまでとは違う。私はもうこれ以上誰の勝手な意思にも操られはしない。これからは自分にとってのただ一つの原則、つまり私の意思に従って行動する。私はこの小さなものを守る」。私はこういうセリフを吐く自分中心の団塊の世代が好きではない。

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