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2010年4月28日 (水)

ちょっと物足りない展覧会2本

六本木で、そこそこおもしろいがちょっと物足りない展覧会を見た。1つは国立新美術館の「アーティスト・ファイル」展で、もう1つは森アーツセンターの「ボストン美術館展」。「アーティスト・ファイル」は、新美が年に一度やる現代作家のグループ展で、特色はなんと「テーマがないこと」だ。

通常こうしたアニュアル展は、一人の学芸員が担当してテーマを決める。その学芸員の力次第でおもしろくなったり、つまらなくなったりするものだ。ところが新美の場合は、学芸員が持ち寄ってみんなで選ぶという。だからこれまでの「アーティスト・ファイル」展はいつも印象が散漫な、インパクトの弱いものだった。
今回も印象は同じだ。どの作家もそこそこの力はあるが突破感がないし、ほかの作家と呼応する感じもない。優等生的な幕の内弁当を食べさせられた気分で記憶に残らない。なかでは、福田尚代の本と文字をめぐる作品に痛切なアピールを感じた。桑久保徹の細かく描きこんだ絵画や斎藤ちさとの泡をめぐる写真も心に残った。石田尚志の映像インスタレーションは刺激的だが、もっと大きな規模のものを都写美で見たばかりなのに、なんでまた小規模のものをやるのだろうか。

「ボストン美術館展」はとにかく人が多い。日曜午後に行ったが、一日五千人くらいの入場者だろう。印象派ばかりを展示しているかと思いきや、出だしにティントレットやベラスケス、ヴァン・ダイク、レンブラントなどオールド・マスターの肖像画が並んでいたのには驚いた。それもそれぞれの画家のかなりレベルの高いものばかり。
次は宗教画で、ヴェロネーゼやエル・グレコ、ムリーリョなど。そうしてようやく印象派が出てくる。とりわけモネは10点で部屋を作ってあり、なかなか見応えがある。そしてあっと言う間に見終わってしまう。
全部で80点で、西洋美術史を駆け足で回った感じだ。六本木ヒルズという場所柄もあってか、何だか美術を「消費」した気分になる。人が多くてゆっくり見ることもできないし、「とにかく本物をみた」という感覚だけが残って空しくなった。世界中の美術館からマネを集めた三菱一号館美術館の「マネ展」などに比べると、何かをじっくり見たという充実感がない。
ボストン展の散漫な感じは、なぜか「アーティスト・ファイル展」にもつながる気がした。

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