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2010年4月13日 (火)

『華麗なるアリバイ』は極上のミステリー

この夏公開されるフランス映画『華麗なるアリバイ』の試写を見た。実に計算され尽くした極上のミステリーだった。監督はパスカル・ボニゼールで、もともと映画評論家や映画研究家として有名で(邦訳もある)、ジャック・リヴェットなどの脚本を書き、最近数本の映画を監督しているが、日本で公開されるのはこれが初めてだ。6月公開の『モダン・ライフ』のレイモン・ドゥパルドンもそうだが、フランスでは有名でも日本は初登場というパターン。

パリ郊外の別荘に、狩りを楽しむために次々に集まる裕福な男女たち。まるでジャン・ルノワールの『ゲームの規則』のような出だしだが、タッチはヒッチコックやフランスならクルーゾーなんかに近い。冒頭の暗闇で「マルト、マルト」と呼ぶ女性の声に始まって、6人の女と3人の男たちの声が混じり合い、そこに狩猟や銃の練習の銃撃が重なる。短いショットに銃声などが重なって「あれは何だ」と思っていると、次のシーンに映っている。見ているうちにいくつもの疑惑が生まれてきて、それが犯人探しのゲームにつながってゆく。
俳優も抜群だ。殺される役は元ハンサム男優のランベール・ウィルソンで、枯れ具合が何ともコミカルだし、その妻のアンヌ・コンシニも痛々しい感じがいい。中年のかわいいブルジョア女を演じるミュー・ミューもぴったりだし、クールな愛人役のヴァレリア・ブルーニ=テデスキはもうそのものだ(ちょっとワンパターン演技だけど)。そして何よりちょっとボケたエマニュエル・リヴァが今だに『二十四時間の情事』を思い起こさせる美しさで、出ている時間は短いが存在感を示す。
男たちの記憶が飛んでしまうのも、ミステリー感を増す。

細部の仕掛けが多過ぎて全部覚えていないので、公開時にもう一度見てみたい。

同じ犯人探しの集団ミステリー劇でも、現在公開中の日本映画『苦い蜜』はあまりにも稚拙だ。

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