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2010年4月11日 (日)

大塚英志の『大学論』を読む

大塚英志氏の『大学論』を読んだ。「いかに教え、いかに学ぶか」という副題がついていたので、思わず書店で買ってしまった次第。私より少し年上の大塚氏は、何だか元祖オタクという感じで、『彼女たちの連合赤軍』などちょっと強引に自分たちの時代を正当化する論理が苦手だったが、この本はおもしろかった。というより、大学で教え始めた私にピッタリの本だった。


彼は4年前から神戸芸工大の「まんが表現学科」の教授だ。そしてこの本は、4年間の学生たちとの日々を描いたもので、これが何ともおもしろい。彼がこれほど教えることにのめり込んでいるのに驚いたし、それ以上に4年間で学生たちがプロの世界の入口に立つまでに変わってゆくさまが感動的だ。

「そもそもぼくの大学で、ぼくが教えていて幸福なのは、学生たちが心から『教わりたい』と思っているからだ。当たり前だが『教わりたい』学生に『教える』ことが」おもしろくないはずがないのである。この一点が、多分、ぼくと、大学生の学力についてただ嘆くだけの先生たちとの間にある決定的な違いではないか、と感じる」

書くことは、いまやネットの普及で誰でもできるが、「公共的なことば」と「物語」という形式を身につけることで、プロになることができる。

「ぼくが今、『大学で教えること』がおもしろいのも『教え方』や『カリキュラム』そのものから『つくって』いるからだと思い当たる。……だからこそ、学生にわかって欲しいのも『つくり方からつくる』楽しさだ」

「多分、問題なのは『学力の低下』ではなく、『教える工夫』の衰退ではないか」

「大学でこの四年間、ぼくが行ってきたことは若い時からずっとものを書きながら考えてきたことを『教える』という目的の中で再構築する、ということだ。だから自分の思考を『批評』ではなく『方法』として徹底してつくりかえることであった」

今の私には、彼の情熱がよくわかる気がする。

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