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2010年5月18日 (火)

70年代のアルトマンに唖然

いやはや驚いた。ロバート・アルトマンが1970年に作った『バード★シット』のことだ。アルトマンというのはもちろん『M★A★S★H マッシュ』で有名だが、同じ年にこんな珍品を作っていたとは。最近DVDで『三人の女』(77)を見てその不条理な感覚に驚いたが、これはその比ではない。

いまどきこんな変な映画を突如封切るのは、どこだろうかと思うと「アダンソニア」という会社で、かつてつぶれたケーブルホーグのNさんが作ったと聞いて、さもありなんと納得した。
物語は、ヒューストンを舞台に翼をつけて空を飛ぶことを夢見る少年を描いたものだが、彼の周りに現れる人々がみんなタガが外れている。なぜか女性には異常にもてて、不思議な少女や謎の美女(背中には翼がもがれた痕がある)などが彼を助けようとする。男たちは逆に彼をいじめようとするが、危なくなるといつも鳥の糞が「ペシッ」と落ちて来て、なぜか死んでしまう。殺人事件の捜査が始まり、わざわざロスから腕利きの刑事を呼ぶが……。
最後に少年は、巨大なドームの中で空を飛ぶ。ああ、本当にできたんだと妙に感動してしまう。結局は落ちてしまうけれど、不思議な達成感がある。この映画は、『M★A★S★H マッシュ』が世界中でヒットしたアルトマンがやりたいように作った映画らしい。
1970年代は、革命の時代の後の「シラケの時代」と言われたけれど、今から見るとシラケゆえのユーモアに満ちた、おかしな時代だと思う。

アルトマンは92年の『ザ・プレイヤー』以降は、『プレタポルテ』『ショート・カッツ』『ゴスフォード・パーク』などポップでシニカルな集団劇を次々と撮っているが、かつてこんなにヘンな映画があったとは驚きだった。

今回の上映は、「Ziggy Films 70年代アメリカ映画伝説」というシリーズで、ほかにハル・アシュビー監督の『ハロルドとモード/少年は海を渡る』も上映される。7月3日から。

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