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2010年5月16日 (日)

『ザ・ロード』の描くリアルな廃墟

戦争や疫病、温暖化などによって地球が廃墟と化した後の風景は、まさにこんな感じだろうという映画に出会った。今夏公開の『ザ・ロード』だ。地球滅亡後に生き残った人々を描いたSF映画は、『マッド・マックス』シリーズや『バイオハザード』あるいは『アバター』までいろいろあるが、大半はアクションかモンスター系の娯楽映画だ。この映画はちょっと違う。まるでドキュメンタリーのように、実際はこうだったのではと思わせて、見ていて背筋が寒くなる。

物語は、生き残った父子がひたすら廃墟を歩くだけだ。時おり出て行った妻を思い出す映像が挟まり(その色彩の鮮やかさといったら)、あるいは人肉を狙う盗賊団に出会って逃げ回ったりする。父子はスーパーの買い物用手押し車に荷物を載せて、ぼろぼろのダウンジャケットを着てビニールやテープを巻いた靴で歩く。ホームレスの恰好に近いが、妙にリアルだ。廃墟となったスーパーに入ってコーラを見つけて飲んだり、人の住んでいない家に入って使えるものはないかを探す。電線が切れて斜めになった電信柱がいくつもいくつも立っている風景。あるいは森の中で、大木が腐ってどんどん倒れ出すシーン。
人に出会ったらまず銃を向け、それから話し出す。盗賊団でなくても、他人の荷物を盗んだり、盗まれたりする日々。見ていて何ともつらい映画だが、俳優たちの存在感が救いだ。主人公の父親を演じるヴィゴ・モーテンセンを始めとして、後半にちょっと出てくるロバート・デュヴァルやガイ・ピアースなど、そこにいるだけで映画になっている。

よくこれだけの風景を探したと思うし、暗い風景の撮影も実に繊細だし、俳優もいいのだけれど、一般的にはちょっと脚本が単調すぎるかもしれない。

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