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2010年5月 1日 (土)

「国立美術館」の事業仕分けに失望

事業仕分けの第二弾で去年はなかった「国立美術館」が対象になっているので期待したが、結果には本当に失望した。裁定は「事業規模は拡充(適切な制度のあり方を検討するとともに、民間からの寄付、自己収入の拡大、コスト縮減といった努力を徹底し、国からの負担をふやさない形での拡充を図る)」。冗談かと思った。

国立美術館の企画展は、大半が新聞やテレビなどのマスコミとの共催で成り立っている。欧米の美術館で行われるような美術館同士の貸し借りでなく、マスコミが億単位のギャラを払って借りてくるから海外の大美術館のいいカモだ。マスコミは費用を回収し、さらに収入を上げるために自らの媒体を駆使して観客を押し込む。だから話題の展覧会はまず展示品が見えないくらい混雑する。こんな非文化的な状況を状況を解決するのが先だろう。これまで美術館側は収入のほとんどをマスコミとの共催展で稼いできたが(経費はすべてマスコミ持ち)、「自己収入の拡大」を目指せば、もっと観客を押し込むしかない。数年後には新聞やテレビは国立美術館につきあう財政的余裕がなくなる可能性が高いので、その心配はないかもしれないが。
ギャラを払うマスコミと組まなければ、押しこむ必要はない。欧米のように予約制を中心にして、入場者数を制限できる。マスコミとの共催展の弊害は、当然ながら新聞などのマスコミは触れない。

あるいは、美術館同士の統廃合にはどうして触れないのか。同じ「国立美術館」でも、東京国立近代美術館に数多くある西洋美術は上野の国立西洋美術館に移したらどうか。京都国立近代美術館や大阪の国立国際美術館も含めて、それぞれがもっと特色のあるコレクションのために大胆に中身を入れ替えた方がいい。
地方の美術館にはいい作品を持ちながら、財政難で展示はおろか保存もままならないところが多い。そういう美術館から寄託を受けてコレクションを充実させ、きちんと保存してゆくことも国の役割だ。

さらには美術館と博物館の区別もなくした方がいい。英語ではすべてmuseumだ。東京国立博物館を中心に、国立科学博物館も含めて上野ミュージアム地区を再編成し、充実させるべきだ。マスコミの企画展に頼る現状はあまりにお粗末で、これでは観光立国もできない。地方自治体も巻き込んだ全国規模の再編も視野に入れないと。朝日新聞では最近「ハコもの文化行政」の連載をしているが、こういう本質的な問題には触れていない。

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