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2010年6月

2010年6月30日 (水)

『昭和16年夏の敗戦』の衝撃

知らなかった。昭和16年4月に「総力戦研究所」なるものが設立され、軍や省庁を中心に民間企業、マスコミを含む30代のエリートが約30人集められ、日米開戦のシミレーションがなされていたことを。そしてそこで、開戦しても必ず負けることが予測されていたことを。最近文庫化された猪瀬直樹氏の『昭和16年の夏』は、この知られざる研究所の活動を調査した衝撃の書だ。

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2010年6月29日 (火)

『アンアン』の「夏のおうちごはん」特集

トマトを使った涼しそうな料理などが並んでいる表紙の『アンアン』最新号を買ってしまった。昔は女性誌を買うのは恥ずかしかったが、最近はおばさん化が進行していて、全く気にしない。年をとったせいか、外で飲むと疲れる。翌朝ボーッとなってしまう。特に夏は暑くて酔った後は寝苦しい。その点、自宅だと飲みすぎないし、しゃべりすぎないので疲れない。夏こそ「おうちごはん」なのだ。

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2010年6月28日 (月)

『告白』への違和感

公開週より2週目や3週目の方が人が多いという話を聞いて、なぜだろうと見に行った。テレビ局が入っていないのに当たっているということも気になっていた。確かに、4週目の日曜週末の17時の回にしてはかなりの入りだった。で、映画はというと、おもしろかったがかなり違和感が残った。

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2010年6月27日 (日)

自然に還ること

年をとると、時々死後のことを考える。天国とか地獄はあまりリアリティがないから、やはり自然に還るのがいいのではないかと思う。そうなると火葬というのは、骨は壷に残るしあまり良くないのではないかと。
ところが最新の「週刊文春」の福岡伸一氏の連載を読んでいたら、「火葬になったとしても、自然の食物連鎖の中に入ることができる」と書かれていた。

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2010年6月26日 (土)

檀一雄の旅と食

雑誌『BRUTAS』の食特集を読んでいるうちに檀一雄が読みたくなり、『美味放浪記』を買った。表紙に日本地図があって、各都市の短いコメントがついている。例えば高知には「黒潮の香を豪快に味わう皿鉢料理」という具合で、何ともそそられる。読んでみると、旅をしながら各地の食を楽しむ檀の子供のような姿が浮かび上がってきて、心地良かった。

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2010年6月25日 (金)

『アウトレイジ』の爽快さ

ようやく北野武の『アウトレイジ』を見た。『その男、凶暴につき』に戻ったような、無意味な暴力と殺傷が続く映画だった。『ソナチネ』や『HANA-BI』に至る過程で暴力が沈黙と美に支配されて、それから後は抜け殻のような不思議なユーモアと様式の映画が続いた。最近の『監督・ばんざい』などを見て、もう昔の北野映画には戻れないのかと思っていたが、やすやすと暴力のみの最初の地点に戻ってきたことに驚いた。

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2010年6月24日 (木)

『徒然草』:その(3)

『徒然草』は、エレガントな生き方を説く。自分の自慢話ばかりよくしゃべるような、品のない田舎の人を嫌う。私などはすぐに破門されそうだと思うくらい、おしゃべりには手厳しい。

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2010年6月23日 (水)

アカデミー賞効果

『クレイジー・ハート』をシャンテシネで見た。日曜午後とはいえ15分前に満員になった。ジェフ・ブリッジズにどの程度の引きがあるのかわからないが、アカデミー賞を2つ取っていなければ、落ち目になったカントリー歌手の話なんて、最近の洋画不況では公開さえ危ないかもしれない。

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2010年6月22日 (火)

徳永康元氏のダンディーな姿と古本屋めぐり

かつて東京日仏学院やイタリア文化会館などで無声映画や珍しい映画を見に行くと、背の高いダンディーな老紳士が一人でいるのをよく見かけた。1980年代から90年代半ばのことである。ある人から「あの人は徳永さんで、戦前にブダペストに留学したものすごいインテリだ」と聞いていた。

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2010年6月21日 (月)

宮部みゆきが描く高校生の日常

宮部みゆき氏の書き下ろし最新作『小暮写眞館』を読んだ。実を言うと土曜日の朝刊の全面広告を見ていたら無性に読みたくなって、近所の本屋で買ってきた。宮部氏の本は『理由』とか『模倣犯』くらいしか読んでいないので、サスペンスの女王だと思っていた。

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2010年6月20日 (日)

「新聞の映画評」評:『ケンタと…』

先日、『あの夏の子供たち』をめぐって新聞各紙の映画評を比べた文章をここに書いたら、「是非続けてほしい」と言った友人がいたので、続編です。『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』は、今年の日本映画の傑作の一つだと思うが、新聞によって大きな差が出た。

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2010年6月19日 (土)

久しぶりのイラン映画

かつて年に何本も日本で公開されていたイラン映画も、昨今の洋画不振のせいか少なくなったような気がする。9月公開の『彼女が消えた浜辺』は久しぶりのイラン映画だ。監督がキアロスタミでもマフマルバフ一家でもなく、全く無名の監督だがベルリン映画祭で銀熊賞を取ったというので気になって見に行ったが、期待にたがわぬ秀作だった。

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2010年6月18日 (金)

雑誌『BRUTUS』の食特集

『BRUTUS』の最新号「美味求真」と銘打ち、「食にこだわった男たち/女たち/と、その本」という見出しだった。最近とみに料理に夢中の私は、思わず買ってしまった。

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2010年6月17日 (木)

黒澤明生誕百年:その(1)

昨日の朝日新聞朝刊社会面に、1951年に黒澤明の『羅生門』で金獅子賞を取った時に本人の代わりに公式上映に参加した東洋人の写真が載っていて笑ってしまった。気になったので調べてみると、当時の朝日には受賞の速報は出ていない。

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2010年6月16日 (水)

『パラレル・ライフ』の奇妙な魅力

最近の韓国映画には、出来不出来は別にしてこの国ならではの過剰さが漂っている気がする。7月24日公開の『パラレル・ライフ』は、決して『母なる証明』や『息もできない』のような傑作ではないが、奇妙な魅力に満ちている。内容も技術もテンコ盛りで、人間のあらゆる感情がごった煮で迫ってくる感じだ。

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2010年6月15日 (火)

ワールドカップは地球規模の人間疎外

日本がワールドカップに勝った日に恐縮だが、私はこうしたスポーツイベントに興味がない。小さい頃は父と読売ジャイアンツを応援していたはずだが、いつの頃からかスポーツ観戦に熱狂することがむしろ嫌いになった。
高校野球は気持ちが悪いし、オリンピックの日の丸は嫌いだ。Jリーグが始まった頃からサッカーも嫌いになり、ワールドカップは親の敵だと思っていたが、最近フランスの『ルモンド』紙電子版でファビアン・オリエ氏の「ワールドカップは地球規模の人間疎外」という記事を読んで、同士を得た思いがした。

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2010年6月14日 (月)

「ル・クルーゼ」にはまる

「ル・クルーゼ」というフランス製のホウロウ鍋がある。1つで2万円も3万円もする高価なものだが、2年ほど前にこれを手に入れたことが、最近料理に夢中になった理由のひとつだ。実は買ったわけではなくて、近所のスーパーのポイントを何年分かためてもらったのだ。実はタダならいいか、くらいのノリだった。

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2010年6月13日 (日)

トルストイの伝記映画を見る

トルストイは何となく苦手だ。『アンナ・カレーニナ』くらいは学生の時に読んだはずだが、覚えていない。それより何より「博愛主義」とか「白樺派」とか、彼を取り巻くイメージがどうも好きになれなかった。
9月頃公開の『終着駅-トルストイ最後の旅-』は、そのトルストイの晩年を描いた映画というので、何となく気が進まなかったが、見てみるとこれが実におもしろかった。

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2010年6月12日 (土)

大騒ぎできるフランス料理店

フランス料理というとシックなイメージが強いが、恵比寿の「ポ・ブイユ」は、入ったとたんにあちこちのテーブルからうるさいほど声が聞こえてきた。こちらはいつもの飲んべえ男女5人組で、飲み進むうちにこちらも大声になってしまった。

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2010年6月11日 (金)

農業がしたい

最近、よく料理を作る。それも以前の肉中心ではなく、主に魚や野菜を使う。特に野菜は、おいしいキャベツとかじゃがいもとかトマトとか、品質の違いに気がつくようになった。自分で作ったらどうだろうなどと考えて、何となく「農業がしたい」気分になっていたが、昨朝の朝日新聞で高橋がなり氏のインタビュー記事を読んで笑ってしまった。

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2010年6月10日 (木)

どこか違う日本映画

『日本映画空振り大三振』を読んだせいではないが、日本映画を見ると悪口を言いたくなることが多い。
『Rookies』のように、テレビ局主導で最初からヒットをねらった作品ならば、「これは映画ではない」の一言で済む。そうではなくて、これみよがしに芸術的な高みを狙いながら、どこかで違うところに行ってしまった映画を見るのはつらい。現在公開中の『春との旅』と、7月10日公開のドキュメンタリー『ビューティフル アイランズ』を見て、そう思った。

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2010年6月 9日 (水)

『性的なことば』のばかばかしい学問

時々、ばかばかしい本が読みたくなる。『性的なことば』という厚めの新書を買ったのは、立ち見で読んでいたら最初のあたりに「『おこめ券』がドギマギさせたのが関西人だけだったとすると、『やまりん』はより広範囲の人々の心に波風をたてた言葉である」というくだりがあったからだ。このばかばかしさは、買わずにはいられない。

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2010年6月 8日 (火)

『ハロルドとモード』と「しらけ世代」

「'70年代アメリカ映画伝説 Ziggy Films」として、7月3日から2本の70年代前半の映画が公開される。先日見た『バード★シット』(70)に続いて、今度はハル・アシュビーの『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』(71)の試写を見た。アルトマンの『バード★シット』に比べると衝撃度は少ないが、その分時代の雰囲気が濃厚に伝わってくる。

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2010年6月 7日 (月)

池波正太郎の優雅な銀座歩き

最近、銀座を歩くと嬉しくなる。長い間その近くで働いたからだが、その華やかな感じがたまらない。そんな時、『池波正太郎の銀座日記(全)』という文庫本を本屋で見つけて読みはじめた。銀座で試写を見て、人に会い、洋食や中華やすしを食べる毎日を記したものだが、銀座を愛してやまない池波の気持ちが伝わってきて気持ちよかった。

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2010年6月 6日 (日)

『あの夏の子供たち』と新聞評

今春のフランス映画祭で見たミア・ハンセン=ラヴ監督の『あの夏の子供たち』が、恵比寿で上映が始まったのでまた見に行った。最初に見た時は、自殺した映画プロデューサーに今の日本の映画界を重ね合わせて暗澹たる気分になったが、今度見るとむしろ父の死後の女たちの生き方が印象に残った。

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2010年6月 5日 (土)

1993年は日本の曲がり角

管直人新首相の誕生に際して、かつて新党さきがけの代表だった武村正義氏が、今朝の朝日新聞に寄せたコメントが妙に気になった。「私は細川内閣から今までを、明治維新、敗戦に続く、近代日本の第三の転換期と考えています」というくだりだ。つまり1993年の非自民政権の成立が、明治維新ほど重要と述べているのだ。

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2010年6月 4日 (金)

アートは究極のソフトパワー

先日の日経新聞夕刊に、オークション会社であるサザビーズジャパン社長の石坂泰章氏へのインタビューが載っていた。中国の美術品購入熱は高まる一方なのに、日本人は美術品を買わなくなった話のあとに、「アートは究極のソフトパワー」と訴えていた。

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2010年6月 3日 (木)

澁澤龍彦の優雅な映画論

週末に立ち寄った地元の本屋でブリューゲル風の表紙が目に留まって、『澁澤龍彦映画論集成』という文庫を買った。澁澤龍彦といえばサドの翻訳者で多彩な趣味人という印象だが、彼の映画論を初めてまとめて読んで、その教養の高さと優雅で自由な趣味に共感を持った。

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2010年6月 2日 (水)

「NHKアーカイブス」に驚く

埼玉県川口市にある「NHKアーカイブス」を見学する機会があった。NHKで過去の番組を放映する時に「NHKアーカイブスから」という言葉があったが、そのアーカイブの中に入ることができた。一言で言うと、そのシスマチックな運営には驚くばかりだ。

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2010年6月 1日 (火)

日本映画の悪口を正直に言おう

『日本映画空振り大三振』という本が、洋泉社から送られてきた。著者は「柳下毅一郎&江戸木純withクマちゃん」と書かれている。2009年に公開された日本映画を座談会形式でなで切りにするという本で、書いてあることが真っ当なだけに、日本映画の悪口を正直に言おう、という気になる。

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