« 池波正太郎の優雅な銀座歩き | トップページ | 『性的なことば』のばかばかしい学問 »

2010年6月 8日 (火)

『ハロルドとモード』と「しらけ世代」

「'70年代アメリカ映画伝説 Ziggy Films」として、7月3日から2本の70年代前半の映画が公開される。先日見た『バード★シット』(70)に続いて、今度はハル・アシュビーの『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』(71)の試写を見た。アルトマンの『バード★シット』に比べると衝撃度は少ないが、その分時代の雰囲気が濃厚に伝わってくる。

この映画を見ながら「しらけ」という言葉を久しぶりに思い出した。1970年代始めからの現象で、特に1972年の浅間山荘事件以降、政治に無関心な「しらけ世代」が広がったとかつてはよく言われていた。現在の40代後半から50代半ばまでくらいだろうか。私も中学生の頃からこの言葉を何度も聞いていた。

すべてを用意してくれる家族には反発するが、積極的な行動には出ない。むしろ無意味な行為に慰めを見出す。『ハロルドとモード』の主人公はそんな19歳の少年だ。『バード★シット』と同じく童顔のバッド・コートの表情が、いかにも「しらけ」という言葉を思い出させる。あるいは「新人類」という言葉も当てはまるかもしれない。
趣味は自殺ごっこや他人の葬式に参加することという彼が好きになるのが、79歳の女性というのがすごい。有名な映画『卒業』(67)、も両親に反発して恋人の母親とできてしまうという筋立てだが、この映画の相手は79歳だ。
この常軌を逸した行動の合間に流れる音楽がいい。すべてが終わってしまったような黄昏の気分になってしまう。こんな退嬰的な映画がほかにあるだろうか。『バード★シット』の方が映画としてのインパクトは強いが、こちらは何とも言えない時代の雰囲気をさらに濃厚に醸し出している。

しかしこの映画を誰が見に行くのだろうかと、ちょっと不安になった。40代後半から50代半ばのおじさんたちにぜひ見てほしい映画だけれど。若い人が見たらどう思うかは、全くわからない。

|

« 池波正太郎の優雅な銀座歩き | トップページ | 『性的なことば』のばかばかしい学問 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/48573186

この記事へのトラックバック一覧です: 『ハロルドとモード』と「しらけ世代」:

« 池波正太郎の優雅な銀座歩き | トップページ | 『性的なことば』のばかばかしい学問 »