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2010年6月15日 (火)

ワールドカップは地球規模の人間疎外

日本がワールドカップに勝った日に恐縮だが、私はこうしたスポーツイベントに興味がない。小さい頃は父と読売ジャイアンツを応援していたはずだが、いつの頃からかスポーツ観戦に熱狂することがむしろ嫌いになった。
高校野球は気持ちが悪いし、オリンピックの日の丸は嫌いだ。Jリーグが始まった頃からサッカーも嫌いになり、ワールドカップは親の敵だと思っていたが、最近フランスの『ルモンド』紙電子版でファビアン・オリエ氏の「ワールドカップは地球規模の人間疎外」という記事を読んで、同士を得た思いがした。

ファビアン・オリエFabien Ollier氏は73年生まれで、『サッカーの体制保守主義』『北京オリンピックの闇』などを書いている哲学者のようだ。彼は「ワールドカップの歴史を紐解けば、長い政治的な恥辱と地球規模の人間疎外政策が見えてくる」という。

今回の大会でも「FIFAの多国籍スポンサーやマフィア的なさまざまな機関が、今回の大会で最大の利益を得ようとがんばっている。……そのうえ、彼らは南アの住民が今回の大会の豊かさを享受すると信じさせようとやっきになっている。現実は貧民窟を整理して住民は追い出され、急ごしらえの贅沢な町並みはギャングによって管理されている。大半の住民が一日2ユーロで暮らしているが、彼らは豊かさのおこぼれにあずかれない」。
彼は自国フランスのチームが1回戦で負けることを願う。なぜなら「フランスのチームが勝つごとに、わが国の批判的精神が数センチ後退する」。
「サッカーは社会的暴力を作り出す。弱肉強食社会のモデルを生み出す。サッカーの構造そのものがそうだ。あくまで競争と侮辱の論理で成り立っている。莫大なお金をもらう選手が、最低賃金労働者や失業者の前でプレーをすることもまた暴力の1つの形だ」。

ワールドカップの開催にぶつけて、こうした記事を載せる『ルモンド』紙はさすがに見識がある。6月10日のある時間帯はサイトのトップ記事だった。日本にもスポーツ嫌いはそれなりにいると思うが、この時期にこうした記事を載せる勇気のある日本の新聞はない。むしろ競ってサッカーやオリンピックのスポンサーになろうとするのが、日本の新聞だ。


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