« くせになるゾンビ映画 | トップページ | 「NHKアーカイブス」に驚く »

2010年6月 1日 (火)

日本映画の悪口を正直に言おう

『日本映画空振り大三振』という本が、洋泉社から送られてきた。著者は「柳下毅一郎&江戸木純withクマちゃん」と書かれている。2009年に公開された日本映画を座談会形式でなで切りにするという本で、書いてあることが真っ当なだけに、日本映画の悪口を正直に言おう、という気になる。

取り上げられているのは46本。『ヴィヨンの妻』とか『ディア・ドクター』のような評判のいい映画は入っていない。まずよくこんなに見ていると感心する。ちなみに私が見たのはそのうちたった11本だ。とりあえず自分が見た映画の部分だけを読んだ。以下は引用。

『ゼラチンシルバーLOVE』:「いまさら清順ごっこをやられてもねぇ。明らかに70年代の感覚で止まっているんだもん」
『鴨川ホルモー』:「すべては脚本の問題だと思う。物語の中心となるサークル内の恋愛話が薄っぺらすぎて、登場人物に魅力がない。そのどうでもいい人たちが観客を放りっぱなしにして意味不明なことをやり続ける身勝手な映画になっている」
『ガマの油』:「役所広司のキャリア的にはいままで築いてきたものをフイにしたね」
『蟹工船』:「『蟹工船』という映画で、蟹から入っちゃうセンスがダメだよね……」「うまそうな蟹を出したから何だっつーの」
『MW-ムウ-』:「タイでのカーチェイスにしても、それが何のためにやっているのかがない。玉木が米軍基地に侵入しても、一番必要なところが描かれていないし」
『山形スクリーム』:「1本の映画で1分以上演じてはいけない竹中直人を全員がやるっていう」
『カムイ外伝』:「時代劇でマンガだからって、大芝居させている演出が最悪だよね」
『TAJOMARU』:「何でこんな映画ができたのか」

3人の会話はこの調子で続く。『映画秘宝』という月刊誌で連載したものらしいが、通常こうした悪口は、新聞や雑誌には載らない。映画が気にいらない場合は載せないという美徳があるからだ。柳下氏だって朝日新聞で書く時は、ほめる文章しか書かない。考えてみたら新聞はジャーナリズムなんだから、もっと正面から批判する文章があってもいいと、この本を読んで思った。
マニアックな部分にはすべて註があるのも、私にはありがたかった。

映画記者や映画ライターはもちろんのこと、映画関係者必読の書である。

|

« くせになるゾンビ映画 | トップページ | 「NHKアーカイブス」に驚く »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/48512396

この記事へのトラックバック一覧です: 日本映画の悪口を正直に言おう:

« くせになるゾンビ映画 | トップページ | 「NHKアーカイブス」に驚く »