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2010年6月20日 (日)

「新聞の映画評」評:『ケンタと…』

先日、『あの夏の子供たち』をめぐって新聞各紙の映画評を比べた文章をここに書いたら、「是非続けてほしい」と言った友人がいたので、続編です。『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』は、今年の日本映画の傑作の一つだと思うが、新聞によって大きな差が出た。

まず公開前日に山根貞男氏の絶賛の文章を載せたのは朝日。「ヤワな人は敬遠するかもしれないが、3人のすばらしさは見ないと損をする。ラスト、松田と高良の悲しさが胸を締め付け、安藤の不屈の強さが息をのませる」。これは見たくなる。

公開1週間後に宇田川幸洋氏のいつもながらちょっとおかしな文章を載せたのが日経。「だが、それでもジュンを追ってくるカヨちゃん。悲哀を超えて、聖性をのぞかせるような、それでもやっぱりブスなような」。「青春のエネルギーとそのアナーキーさを、これほど挑発的にぶつけてくる映画はめずらしい」と締めくくる。これは公開前日に載せて欲しかった。

前日に20行弱の短文ですませたのが、読売と毎日。これほどの日本映画を支持しないとは。もちろんほかの映画との兼ね合いだろうが、守るべき映画は何かをもっと考えて欲しい。インディペンデントの日本映画の場合、一本当たらなければ監督やプロデューサーに次の仕事がなくなるかもしれないことを。

読売は1週間後に松田翔太の大きなインタビューを載せている。しかし新聞のインタビューは、疑惑の中心人物の単独会見などならおもしろいけど、映画監督や俳優のインタビューはしょせん提灯記事でしかない。そのスペースがあったら批判も含めてきちんと評を載せるのがジャーナリズムではないか。インタビューのない日経の映画面は狭いながらもすっきり、充実している。俳優などのインタビューは広告で十分だ。

私はこの映画を試写で見て、最近また劇場で見た。客の入りはあまりよくない。これだと宣伝費くらいにしかならないのではないか。まだ見ていない方は、すばらしい映画なので、是非見に行きましょう。

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