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2010年6月23日 (水)

アカデミー賞効果

『クレイジー・ハート』をシャンテシネで見た。日曜午後とはいえ15分前に満員になった。ジェフ・ブリッジズにどの程度の引きがあるのかわからないが、アカデミー賞を2つ取っていなければ、落ち目になったカントリー歌手の話なんて、最近の洋画不況では公開さえ危ないかもしれない。

元有名人が落ち目になった話はいくらでもあるが、『クレイジー・ハート』はあえてドロドロな見せ場を避けて品よく作られている。ジェフ・ブリッジズ演じるカントリー歌手は、アル中で地方巡業に明け暮れる日々を送る。そこで出会った子持ちの新聞記者の女性(マギー・ギレンホール)と仲良くなるが、結局深入りはしない。コリン・ファレル演じるかつての教え子の前座をさせられて怒るが、仲良く舞台を演じ、その後もファレルに仕事をもらう。あげくの果てはアル中から立ち直り、ギレンホールと再会するというさわやかな終わり方だ。『レスラー』のような悲劇的な終りもなく、何とも普通の映画だ。

アカデミー賞がなければ公開されなかった映画の代表は、今年の外国語映画賞を取ったアルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』だろう。アメリカ映画やヨーロッパ映画の洗練からは程遠い、無理な設定や筋立ての映画だが、最近の韓国映画を思わせる強引さで、最後まで引っ張ってゆく。定年退職した判事が、かつて担当した事件を追いかけながら小説を書く話で、年下の上司の女との実らなかった恋も含めて、奇想天外な展開が幾重にも組み込まれている。8月14日公開。

かつてはアカデミー賞受賞といっても、日本での興行に大した影響はなかったが、数年前から変わったようだ。そういえば、『ハート・ロッカー』も、イラクの爆弾処理班の映画にもかかわらず、相当の入りだった。日本の観客はいつのまにか、たかがアメリカの業界内の賞であるアカデミー賞に、大きな信頼を置くようになってしまった。

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