« 大騒ぎできるフランス料理店 | トップページ | 「ル・クルーゼ」にはまる »

2010年6月13日 (日)

トルストイの伝記映画を見る

トルストイは何となく苦手だ。『アンナ・カレーニナ』くらいは学生の時に読んだはずだが、覚えていない。それより何より「博愛主義」とか「白樺派」とか、彼を取り巻くイメージがどうも好きになれなかった。
9月頃公開の『終着駅-トルストイ最後の旅-』は、そのトルストイの晩年を描いた映画というので、何となく気が進まなかったが、見てみるとこれが実におもしろかった。

トルストイ主義者たちに囲まれ、愛する妻との確執の中で晩年を生きるトルストイを描いたものだが、久々に見る堂々とした伝記映画だった。生きながら神のような存在になってしまった人間の孤独と焦燥が、ユーモアを交えながらも実にリアルに描かれている。後半、医者が毎日、記者たちにトルストイの病状を知らせるくだりなどは、昭和天皇の病気の時のようだった。
妻役のヘレン・ミレンが、まるで即興のような絶妙な演技を見せる。トルストイと寝室で鳥の真似をしてじゃれるかと思うと、『蝶々夫人』のオペラの流れる食卓で怒って皿を壊したり、あるいは絶望のあまり池に飛び込んだり。夫へのまっすぐな愛情は、とどまるところを知らない。
トルストイ役のクリストファー・ブラマーや、若い秘書役のジェームズ・マカヴェイも、そこにいるだけで存在感を示している。
この映画の本格的な感じは、見事なセットや美術にもよるだろう。重厚な室内もいいが、何といっても汽車が際立っている。後半、トルストイが家出をする時に汽車に乗るし、妻は別の汽車で追いかけるのだが、その古めかしい車体がいい雰囲気を出している。ラストは彼の棺が汽車で運ばれるのだが、これが何とも盛り上がる。

プレスを読んでいたら、トルストイの妻ソフィアは世界三大悪妻の一人だと書いてあった。あとの二人はソクラテスとモーツァルトの妻らしい。現在でも有名人の妻というのは悪妻と言われがちだが、この映画を見るとしょうがないかなという気になった。

|

« 大騒ぎできるフランス料理店 | トップページ | 「ル・クルーゼ」にはまる »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/48615210

この記事へのトラックバック一覧です: トルストイの伝記映画を見る:

« 大騒ぎできるフランス料理店 | トップページ | 「ル・クルーゼ」にはまる »