「新聞の映画評」評:7/16『華麗なるアリバイ』など
先週金曜の夕刊各紙は、『借り暮らしのアリエッティ』を大きく取り上げていたが、それ以外はバラバラだった。日経は『インセプション』、朝日は『華麗なるアリバイ』と『ぼくのエリ 200歳の少女』、読売は何と『シュアリー・サムデー』と『エアベンダー』。ジブリアニメ以外は、決め手を欠いたハリウッドや日本の娯楽作で揺れている様子がわかる。問題は朝日のみ大きく取り上げた『華麗なるアリバイ』だ。
確かにこのフランス映画には、ある程度映画を見ていないとおもしろさがわからない、メタ映画的な部分がある。それでも女たちの視線と仕草の心理戦は、見る者を圧倒する。私は各紙が取り上げた娯楽作は全部は見ていないが、これほどの緻密な演出があるのだろうか。
日経は「謎解きのおもしろさは希薄に」と書いて2点をつけ、読売は「展開はやや冗漫だが」と書いてそれぞれ20行弱でかたづけているが、そもそもこの映画がピンとこない記者は、映画には向かないのではないだろうか。別にペドロ・コスタの映画のようにマニア向けとかいうのではなく、普通の映画好きならすぐにおもしろさがわかる作品である。
逆の意味で試金石となる映画が『ビューティフル アイランズ』だ。先週末は毎日が20行弱で取り上げ、朝日がインタビューを載せている。その前の週は読売が10行強。前にこのブログで書いたように、このドキュメンタリーは相当レベルが低い。山形のドキュメンタリー映画祭なら、コンペはおろか、ほかのセクションにも残らないかもしれない。これを評価するのは、完全な素人と言わざるをえない。
この映画と『華麗なるアリバイ』を同じ程度に扱うなんて、少し目の肥えた観客にはありえない話だ。
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