フランスのスノッブ事情
2週前の仏誌「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」に、「スノッブはこの夏をどう過ごすべきか」という特集があって、おかしかった。「スノッブ」というのはフランスというかパリでは実に重要な言葉で、一言で言うと「気取りたい、他人と違う存在でありたいが、気取っているとは思われたくない」、という感じか。経済危機の昨今、「ネオスノッブ」という新しい人種が現れたようだ。
「ネオスノッブ」の最近のはやり言葉は、「シンプル」。例えば両親からもらった質のいい古着。特に革製品。料理は一皿に3種以上の素材を使わないシンプル料理。iフォン、iパッドの類はもちろん使わず、厚い本や新聞を読む。メガネはメガネ屋で、靴は靴屋でしか買わない。
夏はパリにいて、想像上のパリを楽しむ、といいいたいところだが、結局観光客が嫌になって出かけるのは南仏を避けて北フランス、それも海の見えないところがいいらしい。こうなるとよくわからない。
いろいろな「スノッブ」な人々に夏の過ごし方をインタビューもしていて、「バカンスとはとても思えない場所に行くこと、自分はニューヨークに行く」とか「曜日も忘れるくらい退屈すること、無線LANに対応しないコンピューターを持つこと」などと答えている。
つまりは「30%のエレガンスと30%の傲慢さと30%の(ニセの)無頓着さと10%の真心」。これを読むと、やはりフランス人は嫌な奴だと思ってしまう。もちろんこんなスノッブな生活ができるのは、一握りの恵まれた連中だけだが。私の友人たちの大半は、バカンスと言っても自分や妻の実家に帰ってグダグダ2週間過ごして退屈して帰ってくる。
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コメント
はじめまして、まえだと申します。
このスノブの記事に大変興味を持ったので読んでみたいと思いました。
いつの記事かフランス語のタイトルなど、検索できるタグを教えていただくことはできますか?ちょっと、興味がありご連絡差し上げました。
投稿: qp | 2011年5月12日 (木) 01時39分