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2010年7月10日 (土)

まだまだオリヴェイラの魔術は続く

ポルトガルの巨匠、マノエル・デ・オリヴェイラが100歳で撮った『ブロンド少女は過激に美しく』を見た。相変わらず気品あふれる画面で、不可思議な物語が進んでゆく。この後にもう一作今年のカンヌで発表した『アンジェリカ』があってこれも公開予定らしい。オリヴェイラの魔術はまだまだ続く。

今回は電車の中で乗り合わせた隣の女性に、男が自分の身に起こった不思議な出来ごとを語るという設定だ。まず聞き役を演じるレオノール・シルヴェイラがいい。あの焦点がずれたような大きな目で見つめられると、つい秘密を話したくなる気がする。
そこで語られるのは、窓の向こうに見える美少女に恋をしたというもので、その少女が最初からちょっと淫靡な感じを漂わせる。彼女とどうにか親しくなって男は結婚しようと思うが、仕事をもらっている伯父の反対される。男はアフリカに出稼ぎにいって何とか金を貯めるが、それは友人に騙されて無くしてしまう。
ようやく叔父に助けられて結婚へ漕ぎつけようとするが、男は少女の真実を知る。

昔ながらの物語らしい物語をカチっと枠にはめて語ってゆく端正な構造と、充実した画面。レオノール・シュルヴェイラの相槌の声やルイス・ミゲル・シントラの朗読の声を聞くと、何とポルトガル語は美しいのだろうと思う。特に文末のシュとかシャとかの子音。朗読のシーンでは手前のチェスをする主人公や娘たちの遥か画面の奥に、シントラの姿が見え、朗々とした声が響き渡る。

そして映画はお伽噺のように終わる。大きく股を広げて座る少女。目の前にあるのは、長く長く続く線路のみだ。
この映画は9月公開。同じ9月にはフィルムセンターでポルトガル映画祭2010」もあるらしい。オリヴェイラの旧作『春の儀式』(63)も初公開という。楽しみだ。


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