「有元利夫展」あるいは日本の中の西洋
東京都庭園美術館で開かれている「有元利夫展」を見た。初期ルネサンスのピエロ・デラ・フランチェスカの絵に出てくるような女性が、不思議な空間にたたずむ絵の数々は、真夏に見るとどこからともなく涼風が感じられる。s彼の描く西洋と日本の心地よい混淆は、庭園美術館のような、西洋のアール・デコを真似て作られた建物にピッタリだ。
日本美術といっても、日本人は100年以上西洋の美術や文化に親しんでいるので、なかにはずいぶん西洋的なものも多い。そのうえ印象派以降の西洋美術は日本の影響を受けているので、どちらが西洋か日本かわからなくなる。
私はどれも同じような有元利夫の絵画を見ながら、舟越桂のこれまたどれも同じような彫刻を思い出した。ルネサンスかその前の中世のような神話的な世界と日本の装飾的伝統が融合し、印象派以降のポストモダンで無国籍な雰囲気を作り出している。そういえば、舟越の個展も数年前にこの庭園美術館で開かれたことがある。まさにピッタリの空間だった。
西洋の神話的中世+日本の装飾的文化=無国籍ポストモダンと言えば、村上春樹の小説を思い出した。西洋に憧れた日本人が無意識のうちに作った独自の世界という点で、これも有元利夫とつながっている気がする。
有元利夫展は9月5日まで。真夏に心の中の涼しさが欲しい人に。
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