« するする入る『美学入門』 | トップページ | 夏が来れば、思い出す »

2010年7月14日 (水)

マン・レイ秘蔵のマン・レイ

マン・レイの展覧会なんて日本で何度やったことか。そうでなくても、ポンピドゥ・センター展などでもマン・レイは必ず展示される。しかし今回国立新美術館で始まったマン・レイ展は、本人が所蔵していた作品を中心に所蔵するマン・レイ財団から借りたもので、今までとは一風違う。

簡単に言うと、有名でない写真や私物に近いものがたくさん展示されている。例えばチェスが好きだったマン・レイが持っていたチェスのセット。あるいは彼のパスポートや帽子、鞄など。最も感動的なのはロスのマン・レイのスタジオの表札かもしれない。
ソラリゼーションなどの実験を凝らした写真と、何ともエレガントな雰囲気を持つポートレート写真の数々。時には額も自分で作ったりしているところが、マン・レイらしい。お世辞にもうまいとは言えないおびただしいデッサン。

四百点を超す出品作から浮かび上がるのは、そのトリッキーでエレガントな芸術家像だ。どこか機械的なもの、数学的なものを信じて、日常をそれで染め上げる意思の強さ。これはシュルレアリスムというよりは、20世紀前半に最先端を生きた人間の、日常の美学のように思えた。
展覧会の英語副題はUnconcerned But Not Indifferent「無頓着、しかし無関心ではなく」。彼の作品から取られたもので、墓に刻まれているという。これぞ彼の美学である。
9月13日まで開催、その後大阪の国立国際美術館に巡回。

今回、彼が監督した映画を上映している部屋があったが、『二人の女』Two Womenがプログラムに入っているか確認するのを忘れた。全裸の二人の女性の局部が大写しになる数分の作品で、なかなかの見ものだが。

|

« するする入る『美学入門』 | トップページ | 夏が来れば、思い出す »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/48873228

この記事へのトラックバック一覧です: マン・レイ秘蔵のマン・レイ:

« するする入る『美学入門』 | トップページ | 夏が来れば、思い出す »