アラン・デュカスの料理本は使える
これまで3つ星シェフの料理本というと、だいたい7000円とか1万円とかする高級仕様の翻訳本で、日本には食材がないからほとんど作れない、というタイプのものが多かった。しかし最近出たアラン・デュカスの本「アラン・デュカスの一皿フレンチ」は全く違う。一冊1200円の薄い本で、今のところ「米」編と「魚」編が出たところだが、完全に日本向けに作られている。
まず4人前で1500円から3000円前後の材料費のものしか掲載されていない。各編とも10種類の料理しか載っていないが、どれも自分でもできそうなものばかりなので、たくさん載っていても実現可能性が低い本よりも使える。
試しに作ってみた。どちらも表紙になっている料理で、ひとつは「かぼちゃと生ハムのリゾット」、もうひとつは「いわしのグリルとラタトゥイユ バジル風味」で、どちらも簡単で実に繊細な味に仕上がった。生ハムを炒めたものと生の両方で食べるというのがいいし、いわしはバジルの葉が効いた。
各料理の手順も写真が30枚近く使ってあって細かい。シェフの一言も楽しく役に立つし、それぞれ最適な鍋の種類と合うワインが書いてあるのもいい。「さばのマスタード風味」は合うワインとして「新潟の吟醸酒」と書いてある。
デュカスと言えば、フランスで三つ星を2つ、一つ星などを足すと確か10以上星を持っている人だ。その人にして、徹底的に日本のマーケッティングをやっているのがすごい。
ところでだいぶ前に、銀座のシャネルの上の「ベージュ」で食べたことがあるが、ピンとこなかった。どれも斬新な料理で、なぜかほとんどの料理に別にスープをかける。正直なところ、凝り過ぎて何を食べているかわからなかった。偶然にデュカス氏がいて、客に手を振っていたが。
| 固定リンク
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- 『東京いい店 はやる店』を読みながら(2024.07.03)
- 世界のどこが一番おいしいか(2023.09.29)
- 「地中海料理」とは(2022.10.03)
- 日本酒と焼酎の話:その(1)(2022.09.20)
- 安ワインの話:その(2)(2022.09.18)
コメント