« 三菱美術館にまた行く | トップページ | 強引な女性映画2本 »

2010年8月31日 (火)

夏の映画は

少し年上の友人からのメールに、今年の夏の殺人的な暑さについて「『殺意の夏』ですね」と書かれていた。もちろん30年近く前の、イザベル・アジャーニが大胆な裸を見せたフランス映画のことである。この映画はフランスでは有名らしく、『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』誌が7月から8月にかけて連載していた「夏の映画」にも選ばれていた。

「夏の映画」は毎号1本が選ばれ、3ページにわたって写真と細かい解説がつく。6回連続の企画で、選ばれたのは『軽蔑』『サタデイ・ナイト・フィーバー』『殺意の夏』『情事』『ピクニック』『卒業』。この雑誌がもともとフランスのブルジョア的な新左翼をターゲットにしたものなので、『軽蔑』や『情事』のようなインテリ映画を入れて、ルノワールの『ピクニック』も押さえながら、大当たりした『殺意の夏』やアメリカ映画のヒット作『サタデイ…』『卒業』にも目配りをするといった感じだろう。

私の記憶では、『軽蔑』は確かに夏の映画だ。人のいないチネチッタや、カプリ島のマラパルテ邸などの風景には、登場人物たちの原色のハデな服装と、強い日差しや青い空がセットになっている。最後の半袖白シャツのフリッツ・ラングが飄々としていて印象的だ。
『情事』は白黒だが、モニカ・ヴィッティたちの登場人物は半袖で、島に出かけてみんなで泳ぐ。最後のタオルミナのサン・ドメニコ・パラスの庭も、夜を外で過ごすことのできる夏の朝でしかありえない。『ピクニック』は、私は夏ということを考えたことはなかったが、まさに夏の田舎の思い出だ。

日本映画で夏の映画というと何が思い出すだろうか。黒澤明の『野良犬』の三船敏郎の白いジャケット。それからなぜか松本清張原作の『張り込み』の刑事さんたちを思い出す。最近だと亡くなった相米慎二監督の『夏の庭』の子供たち。北野武の『菊次郎の夏』。去年の『歩いても歩いても』も印象に残っている。もっともっとあるはずだ。
台湾映画だが、ホウ・シャオシェンの『冬々の夏休み』とか『風櫃の少年』もすばらしい夏だった。自分が台湾に旅行に行ったのも真夏だったので、妙に重なってしまう。
今年の映画だと、フランス映画だが『あの夏の子供たち』の夏のパリがよかった。

|

« 三菱美術館にまた行く | トップページ | 強引な女性映画2本 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/49302027

この記事へのトラックバック一覧です: 夏の映画は:

« 三菱美術館にまた行く | トップページ | 強引な女性映画2本 »