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2010年8月24日 (火)

ブリューゲルの細部に見入る

8月29日まで渋谷の文化村ザ・ミュージアムで開かれている『ブリューゲル版画の世界』をようやく見た。驚いたのは、いつもすいている夜間開館の時間帯で見たにもかかわらず、かなり混んでいたことだ。多くの人々がブリューゲルの描く中世的な不思議な世界の細部に見入っていた。

なかでも混んでいたのが、「七つの罪源シリーズ」や「七つの徳目シリーズ」などの大勢の人々や動物が描き込んでいる風刺的な世界だ。見ていると、まるで現代社会で無数の人々があの手この手で生き延びている姿に見えて、見れば見るほどおもしろい。

私はあまりの混雑ぶりに途中で降参して、2500円のカタログを買って帰った。油絵と違って写真や版画だとカタログでもかなり実物に近いので、十分楽しめる。そのうえこのような絵の場合、解説を読むことで、見方が変わってくる。
例えば「邪淫」という絵を見ると、邪淫を犯した者が引かれてゆく図があるが、その先頭にはバグパイプ吹きがいる。当時、楽器、とりわけバグパイプは快楽を誘発する道具とみなされていた、という解説は実におもしろい。その右にいる裸の女はヒキガエルの愛撫を受けているが、ヒキガエルは邪淫の象徴という。そのヒキガエルが長い飾り袖の衣服をまとっているのは、社会的に高位の人物を風刺しているらしい。
「象徴」とかを考えなくても、この絵には自分の男根を切ろうとする怪物や、肛門と陰部を見せびらかすメスの猿など奇妙な動物がいっぱいで見ていて飽きない。

もちろんブリューゲルといえば、「バベルの塔」などの油絵が有名だが、版画だからこそこれだけ一堂に揃ったのだし、単色の版画ならではの味わいもある。ほとんどが16世紀の初版なのに、その状態のよさにも驚く。必見の展覧会だ。

文化村の後は、新潟と京都に巡回。

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