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2010年8月25日 (水)

ノスタルジックな子供映画3本

子供を主人公にした映画はおおむね苦手だ。いわゆる子役の過剰な演技が見ていられない。最近見た『リトル・ランボーズ』と『プチ・ニコラ』と(ともに10月公開予定)はともに少し前の時代の小学生を主人公にした映画で、それなりによくできていたが、どうしても大人が考えた子供像という気がした。それに比べると11月27日公開の『信さん』の子供たちはずっと本物だ。

『リトル・ランボーズ』は1980年代のイギリスが舞台。毎日漫画をノートに書いている想像力豊かな少年が金持ちの悪ガキと知り合ったことから映画『ランボー』にのめり込み、映画作りを開始する話だ。
こう書くといかにもおもしろそうだし、見ていてもう一つ盛り上がらないのは、映画作りにどこかリアリティがないからだ。高価なカメラを手にしたらもっときちんと撮るだろうし、撮る過程をもっと見せて欲しい。おかしな登場人物たちの紹介ばかりで、映画を作ってゆく真剣さや楽しさがどこか見えてこないような気がした。

『プチ・ニコラ』は1960年代のフランスが舞台で、こちらは有名な絵本が原作。この映画もおかしな登場人物を描くことに懸命で、彼らは何度も同じしぐさを繰り返す。こちらの映画の方がリアリティがあるとしたら、1960年代の古めかしい教室や先生、あるいは保守的な両親がかなり細部まで描かれているからだ。
相当に作り込んだセットと役柄、セリフが全体を引っ張ってゆき、見ていて楽しい。父親役のカド・メラッドは『コーラス』や『幸せはシャンソニア劇場から』にも出ていたが、この2本と同じように過去を丹念に作り込んだ映画だった。最近はフランス映画もリアリズムではなく、よくできた「作りもの」映画が増えているような気がする。

それらに比べて、平山秀幸監督が1960年代の九州の炭坑町を撮った『信さん 炭坑町のセレナーデ』の何とリアルなことか。ここには、いかにもといった子供たちはいない。
炭坑町に子供を連れて戻ってくる役の小雪がちょっと優雅すぎるが、あとは子役の少年たちを始めとして、光石研、大竹しのぶ、中尾ミエ、村上淳、岸部一徳といった役者たちが地に足の着いた演技をしている。大勢出てくるエキストラもリアルだ。それ以上に当時の炭坑町を信じられないほど忠実に再現している。

実は当時九州の炭坑町に住んでいた私には、とても他人事ではなかった。この映画についてはまた別の機会にじっくり触れたい。

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コメント

かつて海底炭鉱によって賑わっていた、長崎の軍艦島も、何度か、映画になってます。
現在、軍艦島を世界遺産にという運動がありますが、国立西洋美術館なんかよりも、世界遺産になるべき島ですよ。

軍艦島は、写真で見ると、イタリアのマテーラみたいな感じかしら。

投稿: マサユキ | 2010年8月25日 (水) 07時38分

初めてコメントします。
軍艦島に住んでいたことがあります。
軍艦島は中から見ると
タル・べーラの<倫敦から来た男>の
少年がボールを蹴っているシーン
あの雰囲気にとてもよく似ています
あれを見たときとても懐かしく感じました

投稿: との | 2010年8月25日 (水) 17時41分

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