« 「ブラスリー」と「ビストロ」 | トップページ | 辻邦生と北杜夫の往復書簡 »

2010年8月21日 (土)

女性映画が好き

1960年前後のイギリスの高校生を描いた映画を2本見た。11月5日公開の『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』と名画座で見た『17歳の肖像』だ。どちらも女性監督の作品らしく、女性の視点が効いた繊細な佳作だった。

『ノーウェアボーイ』は、何とスターになる前のジョン・レノンの話だった。彼がプレスリーに惹かれて音楽を始めたり、ポール・マッカートニーと出会ったりする場面も興味深いが、何より二人の母親との葛藤のシーンがよく出来ている。彼を生んだ実の母親は身持ちが悪く、彼の父親は外国にいて、叔母の家に預けられている。ある日母親に再会したことからジョンは二人の母親の間を行き来することになる。
叔母役のクルスティン・スコット・トーマスはこのようなワケアリの中年女がピッタリだし、母親役のアンヌ=マリー・ダフは華やかでありながら脆さを併せ持つ。この二人がジョンの父親をめぐって怒鳴り合うシーンの迫力はすごい。二人の母親がジョンと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な役割を果たす映画だ。
監督は現代美術界では知られたサム・テイラー=ウッド。彼女の切れ味のいい映像作品は日本でもあちこちで見たが、今回は現代美術的なセンスを出さず、まっとうな映画の演出をしている。

『17歳の肖像』は見た人も多いと思うが、オクスフォード入学をめざすまじめな女子高生ジェニーを描いた痛切な青春映画で、なかなかよくできた小品だった。主人公のキャリー・マリガンの表情やメイクの変化を見ているだけで映画になっている。彼女が年上の男性と知り合い、恋に破れて成長してゆくさまはどこにでもある物語だが、見ていて心地良い。ロネ・シェルフィグ監督は前に『幸せになるためのイタリア語講座』で話題になったが、こちらの方がずっといい。

なぜか、女性の視点をきちんと入れた「女性映画」が好きかもしれない。「女性映画祭」とかは気持ちが悪いし、それをやっている人々は苦手だが。あるいはフェミニズム批評にも全く関心はない。

|

« 「ブラスリー」と「ビストロ」 | トップページ | 辻邦生と北杜夫の往復書簡 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/49205942

この記事へのトラックバック一覧です: 女性映画が好き:

« 「ブラスリー」と「ビストロ」 | トップページ | 辻邦生と北杜夫の往復書簡 »