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2010年8月16日 (月)

たまには大見世物を

少し前に読んだ池波正太郎氏なら「アメリカの大見世物」と表現したような映画を2本見た。『ソルト』と『インセプション』。『インセプション』は予告編から相手の意識に侵入するというアイデアが気になっていたが、『ソルト』は交通広告のアンジェリーナ・ジョリのカッコよさに惹かれ、朝日新聞のみが映画評で大きく取り上げたことも心のどこかに引っかかっていた。

結論から言うと、ともに楽しんだ。『ソルト』は朝日新聞で「本物のハードボイルド」と断言していたが、それは言い過ぎだろう。良くできたアクション映画というところか。アンジェリーナ・ジョリ演じるソルトは、その出自とは関係なくカッコいい。それは彼女のファッションや身のこなしの美学と綿密に組み立てられたアクション効果によるもので、北朝鮮とかロシアとかドイツ人の夫とかは、結局飾りでしかない。
ドイツ映画でおなじみの夫役を演じたアウグスト・ディールが良かったし、老いたスパイのダニエル・オルブリスキーも懐かしかった。ワイダの映画で何度も見たこの役者がいい感じに老いていた。それに比べるとアメリカ側の男優たちがちょっと影が薄かったかもしれない。

『インセプション』はよくこんな映画を作ろうと思ったほど、挑戦的な映画だ。映画を見ているとこれが夢の中なのか、現実なのかわからなくなり、それが幾重にも連なって同時に進行してゆく。それを見事としかいいようのない視覚効果で見せて行く。パリで遠くの風景が立ち上がって、垂直になってしまうシーンなどは背筋がぞくぞくした。
見ていて脳髄が切り刻まれるようなコンセプトの力があり、それがちゃんと映画になっているのだからすごい。
これは日経新聞で渡辺祥子氏が書いていたが、妻や子供を夢で追いかけるディカプリオは『シャッター・アイランド』とほとんど同じでおかしい。

2本とも「何を言いたいのかわからない」映画ではあるが、『ソルト』のフィリップ・ノイス監督は主人公の魅力と練られたアクションで引っ張り、『インセプション』のクリトファー・ノーラン監督は知的な構成と斬新な映像で見せる。やはりアメリカ映画はおもしろい。

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コメント

『脳内ニューヨーク』も訳が分かりませんでした。

投稿: kenyama | 2010年8月17日 (火) 15時29分

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