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2010年9月 1日 (水)

強引な女性映画2本

たぶん女性映画の部類に入るのだろうが、その「強引さ」にどうしても好きになれない日本映画を2本見た。現在公開中の若松孝二監督の『キャタピラー』と11月6日に公開する河瀬直美監督の『玄牝』。ともに海外でも有名な個性豊かな監督の映画だし、力の入った意欲作だが、個人的には引いてしまった。

『キャタピラー』は今年のベルリン国際映画祭で寺島しのぶが主演女優賞を取った話題作だ。確かに寺島の演技はすごいと思う。というか、映画にはそれしかないとも言えるかもしれない。戦場で日本兵が中国女性を襲うシーンや村の中のシーンはかなり雑な映像で、ほとんど抽象的だ。特に篠原勝之が演じる知恵遅れの男などは、まるで記号のようだった。
しかしながら物語そのものはもちろんインパクトが強いし、寺島しのぶの身を削るような演技は、抽象的になりがちな画面にリアリティを与えているのは事実だ。
『連合赤軍』の時と同じように、映画の終りに解説めいたものが入るのも興ざめだった。原爆で何万人死んだとか、ひたすら事実を文字で解説している。くどいというか、映画をプロパガンダとして考える監督の姿勢が見えてくる。

『玄牝』は、それに比べると映像は美しい。しかし撮られた対象は妊婦たちであり、彼女たちに絶大な信頼を得て愛知で産婦人科を開く吉村医師だ。ここでは薬や手術をしない自然なお産をしているので、妊婦たちに人気がある。みんながその医師のすばらしさを湛え、本人もまんざらではない感じだ。何だこれは吉村医院の宣伝映画かと思ってしまう。
お産に関しては、みんなそれぞれが異なる立場がある。子供がいない人もいる人もそれぞれの思いがあるだろう。ああいうふうに、お産をする女は偉い、その自然な分娩を目指す吉村先生は最高だというようになると、これはプロパガンダ映画になってしまう。妊婦や吉村医師、助産婦たちに寄り添うようなデジタル・カメラは繊細でいいのだけれど。

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