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2010年9月

2010年9月30日 (木)

昔ながらの飲み屋でくつろぐ

森下の「魚三」という飲み屋に、中年男4人で出かけて行った。森下は街自体が時代から取り残されたような感じがあるが、とりわけその飲み屋はまるで高度成長期の日本のような雰囲気を残している。1階は幅が15メートルくらいはありそうな長いカウンターが四角に板前さんを取り囲む形で、2階には大広間がある。

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2010年9月29日 (水)

ポルトガルの青春映画

どこの国にも青春映画はある。とりわけ1960年代前後に各国で作られた映画には、青春の歓喜と絶望を凝縮したような作品が多い。先日亡くなったフランスのクロード・シャブロルの『いとこ同士』(59)はそんな映画だった。イタリアならベルトルッチの『革命前夜』(64)か。現在フィルムセンターで開催中の「ポルトガル映画祭」で見た『青い年』(63)もその1本だった。

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2010年9月28日 (火)

中江兆民から日中関係を考える

中国と領土問題でもめている時に、ちょっと物騒な本を読んだ。中江兆民の『三酔人経綸問答』。中江兆民(1847-1901)といえば、明治の民権派であり、ジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』を翻訳したことで知られている。この本は、明治期の日本が国際的にどのような道を歩むべきかを1887(明治20)年に示したものだ。この本を知っている人は何をいまさらと言うかもしれないが、初めて読む私には目から鱗の内容だった。

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2010年9月27日 (月)

「日本経済は最高のモデルです」

昨日触れた『クーリエ・ジャポン』誌には、毎号「世界が見たNIPPON」というコーナーがあって、なかなかおもしろい。ここで、今月半ばに触れた『ル・モンド』紙と似ている日本経済礼賛記事を見つけた。英国の『ガーディアン』紙に載ったSteven Hill氏の記事の翻訳だ。見出しは「日本経済は最高のモデルです」。

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2010年9月26日 (日)

『悪人』と消えゆく言語

映画『悪人』を見て一番考えたのは、博多弁と佐賀弁と長崎弁の違いだった。福岡出身で親戚や友人が九州各地にいる私にとっては、その差異は重要だ。主演の妻夫木聡が福岡、深津絵里が大分出身なのを始めとして、出演俳優には九州出身者が多かったせいか、その違いに敏感な映画だったと思う。そんな時、最新の『クーリエ・ジャポン』誌を読んでいたら、「世界では約2,500の言語が消滅の危機にさらされている」という記事があった。

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2010年9月25日 (土)

日本映画の便利な入門書

日本映画に関心を抱く外国人は多い。しかし日本に来てみるとみな途方にくれるようだ。会った人々は誰も小津や溝口を知らず、そもそも映画館でもどこでもまず上映していない。かつてはDVDやビデオもなかったから、雲を掴むようなものだったらしい。最近、そんな外国人に実に便利な本ができた。

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2010年9月24日 (金)

ベネチア国際映画祭:おまけ/「新聞の映画祭評」評

新聞ではカンヌなど海外の映画祭が終わると、長い記事が載る。「グローバリゼーションに立ち向かう政治的なテーマが目立った」とか書いてあっていつも「本当かな」と思っていたが、今回は自分もベネチアに行ったので、興味を持って読んだ。以下は朝日、読売、日経の記事の読み比べだ。

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2010年9月23日 (木)

時差ぼけの『放浪記』

久しぶりの外国旅行から帰って読んでいたのは、林芙美子の『放浪記』だった。最近読んでいる戦争関係の本の続きのつもりだったが、時差ぼけの一週間には、妙にぴったりの不思議な高揚感があった。実を言うと林芙美子の本を読み通したのは初めてだ。林の本を原作にした成瀬己喜男の映画はほぼ見ているが。

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2010年9月22日 (水)

コッポラ健在

コッポラの新作を見た。娘のソフィアの映画ではない。父親のフランシス・フォード・コッポラの『テトロ』Tetroのことだ。去年のカンヌで話題になりながら日本では公開が決まっていなかったが、今年の「ラテンビート映画祭」でなぜか上映された。これがすばらしい。

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2010年9月21日 (火)

世界文化賞でイタリア人圧勝

「高松宮殿下記念世界文化賞」というちょっと不思議な賞がある。フジ・サンケイグループが主催の賞で、今年で22回目というから、バブル期に始まって、まだ続いていることになる。かつてはパリやニューヨークで授賞式をやっていた。今回その授賞式の招待状というのが届いて、驚いた。5人のうち何と3人がイタリア人である。最近どんなジャンルでも、イタリア人がこれほど圧勝したことはないのではないか。

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2010年9月20日 (月)

赤城神社改築と「新しい公共」

1年以上かかった近所の赤城神社の改築工事がようやく終わって、数日前にお披露目となった。従来の神社をすべて壊して、新しくそこに建ったのはコンクリートとガラスと生木を使った現代建築だった。デザインを手がけたのは建築家の隈研吾氏。昨日実際に見に行って、その変わり果てたさまに私は深く失望した。

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2010年9月19日 (日)

トルナトーレの不思議な到達点

ジュゼッペ・トルナトーレと言えば、『ニューシネマパラダイス』(89)で若くして大ヒットを収め、『みんな元気』(90)『海の上のピアニスト』(99)『マレーナ』(00)と、イタリアには珍しく観客を集められる巨匠として知られていた監督だ。しかし新世紀になってからはその名前は聞かなくなり、もう彼の時代は終わったのかと思っていた。

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2010年9月18日 (土)

上村松園の美人画

外国から帰ってきて最初に見た美術展は、竹橋の近代美術館で始まったばかりの『上村松園展』。別に日本美が恋しくなったわけではないが、自宅から遠くないところで日本のものを見たいと思った。その完璧な美人画は、異様なくらいのインパクトがあった。

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2010年9月17日 (金)

才人フランソワ・オゾン

最近、自らの作家性を保ちしながらもある程度の興行収入を約束してくれる監督が少なくなった。かつてヨーロッパには、トリュフォー、ロメール、タヴィアーニ兄弟、ベルトルッチ、ヴェンダース、ルコントなど何人もいたが、最近ではスペインのペドロ・アルモドバルとフランスのフランソワ・オゾンくらいか。ベネチアで最新作のPotiche『しあわせの雨傘』(何という邦題!)を見たが、先日試写を見たのはその前にオゾンが作った『リッキー』で、両方ともお正月映画。

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2010年9月16日 (木)

メリエスの奇跡

もう1年以上前にアメリカから買ったジョルジュ・メリエスのDVDボックス全5枚を、夏休みにようやく見た。メリエスは500本以上の作品を作ったが、そのかなりが失われていた。世界中のフィルム・アーカイヴがあちこちで発見していたものを集めたもので全173本、13時間以上の内容だ。

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2010年9月15日 (水)

日本は先端か

前から思っていたのが、パリに行くたびに日本に似てきていると思う。かつての出張と違い、今回はすべて自腹なのでタクシーに乗らず、地下鉄やバスに乗り、歩く。そうすると街の細部がよく見えてくる。一番驚いたのは、サン・ミシェル大通りの書店があった場所にいつの間にか「モノプリ」という都市型スーパーができて、朝8時から夜11時45分まで開いていたことだ。

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2010年9月14日 (火)

パリの小さな美術館:その(2)

パリにはまだまだ小さな美術館がある。今回行ったのはあと3つ。おそらくあまり知られていないと思われるのがドラクロア美術館。これはサンジェルマン・デ・プレの少し入ったところにあって、彼の最後に住んだ家と隣のアトリエが美術館になっている。

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2010年9月13日 (月)

パリで「ビストロ」を考える

先日ここで「ビストロ」と「ブラスリー」について書いたが、せっかくパリに行ったので、現場で調べてみた。まずフランス人に「ビストロの意味は」と聞くと、みんなびっくりする。誰も考えたこともないらしい。

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2010年9月12日 (日)

パリの小さな美術館

何度も行ったルーヴルやオルセーのようなパリの大美術館には今回はなぜか行く気がせず、ふと思いついて小さな美術館を回ることにした。大半は前から名前だけ知っているが、一度も行ったことのない美術館だ。

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2010年9月11日 (土)

パリで見るカンヌ受賞作

ベネチアを途中で抜けて、パリに移動した。9月のパリは新学期で、それにあわせて期待の新作が一斉に登場する。今年のカンヌに出た作品でも大作はカンヌ直後に公開するが、アート系で賞を取った映画は9月が多い。そのうちパルム・ドールの『ブンミおじさん』とグランプリの『人々と神々と』を見た。

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2010年9月10日 (金)

ベネチア国際映画祭:その(6)まとめ

ベネチア国際映画祭に参加した人は、監督であれ配給会社の人であれ評論家であれ、「運営がひどい」「上映環境が最悪」「観客が携帯メールばかり見ている」「ホテルが取れない」「レストランが少ない」とかまず文句を言う。そのうえ映画ビジネスの場としてはカンヌ、ベルリンの次のポジションは完全にトロントに奪われた感じだ。それでもいまだに世界の著名監督の作品が集まってくるのは、なぜだろうか。

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2010年9月 9日 (木)

リド島でラバウルの軍事裁判について考える

ベネチアのリド島で映画三昧の日々を送っていた時、頭の中はラバウル島で第二次大戦後に行われた軍事裁判のことが駆け巡っていた。大岡昇平の『ながい旅』に触発された読書の続きで、角田房子著『責任 ラバウルの将軍 今村均』を映画の合間に読んでいたからだ。

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2010年9月 8日 (水)

ベネチア国際映画祭:その(5)

ベネチア映画祭には、当然だがイタリア映画がたくさん出品されている。ぜんぶで24本のコンペに4本入っているのを始めとして、全セクションをあわせると40本くらいある。コンペにマリオ・マルトーネやカルロ・マッツァクラーティ、招待作品にミケーレ・プラチドやマルコ・ベロッキオなど東京のイタリア映画祭でも有名な監督の新作が並んでいるのは壮観だ。

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2010年9月 7日 (火)

ベネチア国際映画祭:その(4)

ベネチアの現ディレクター、マルコ・ミュラーの戦略は、できるだけ幅の広い選択をすることだ。ツイ・ハークや三池崇史の娯楽作を入れるかと思うと、ほとんど個人映画に近い作品も入れる。今日はそんな自主製作のような映画を2本見た。王兵(ワン・ビン)の『溝』The Ditchとヴィンセント・ギャロの『水に書かれた約束』The Promises Written in the Water。

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2010年9月 6日 (月)

ベネチア国際映画祭:その(3)

国際映画祭というのは、いわゆる巨匠の初上映作品をどれだけ集まられるかが、重要なポイントの一つだ。ベネチアもいつもベテラン監督の名前をずらりと揃えている。今年はこの数日でトラン・アン・ユンやソフィア・コッポラの新作を見たが、この2日間で、フランソワ・オゾン、イェージー・スコリモフスキー、ツイ・ハークといったベテラン監督たちの新作を見た。

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2010年9月 5日 (日)

ベネチア建築ビエンナーレに足を延ばす

ベネチア国際映画祭に行く時は、必ず美術や建築のビエンナーレにも足を延ばす。映画祭も運営は美術や建築と同じくビエンナーレ財団で、その映画部門が映画祭。美術と建築はリド島ではなく、ベネチア島のジャルディーニとアルセナーレという2会場を主に使って、1年ごとに交互に開催する。今年は建築の年で、総合ディレクターが何と日本の女性建築家、妹島和代だった。

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2010年9月 4日 (土)

ベネチア国際映画祭:その(2)

2日目も4本を見た。なかでもおもしろかったのが、ソフィア・コッポラの『どこか』Somewhere。『ノルウェーの森』の撮影の美しさにも圧倒された。ほかにロシア映画とフランス映画を見てかなり疲れた。

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2010年9月 3日 (金)

たぶん10回目のベネチア国際映画祭:その(1)

また、ベネチア映画祭に来てしまった。たぶん最初が1992年で、今年で10回目だと思う。ほかの映画祭には行かずにここに来るのは一応理由があったが、去年から大学の教師になると時期的に参加可能なほとんど唯一の海外の映画祭になった。それにしても心地よい。猛暑の東京から15時間近くを経て、ベネチア国際空港に着いて潮風を浴びた瞬間に、生き返ったような気持ちになる。

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2010年9月 2日 (木)

東郷和彦から大仏次郎へ

海外旅行をすることになり、新書や文庫本を何冊か買った。飛行機で最初に読んだのが、東郷和彦氏の『歴史と外交 靖国・アジア・東京裁判』と大仏次郎氏の『終戦日記』。大岡昇平氏の『ながい旅』に影響を受けたのか、急に戦争関係の本を読みたくなった。

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2010年9月 1日 (水)

強引な女性映画2本

たぶん女性映画の部類に入るのだろうが、その「強引さ」にどうしても好きになれない日本映画を2本見た。現在公開中の若松孝二監督の『キャタピラー』と11月6日に公開する河瀬直美監督の『玄牝』。ともに海外でも有名な個性豊かな監督の映画だし、力の入った意欲作だが、個人的には引いてしまった。

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