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2010年9月14日 (火)

パリの小さな美術館:その(2)

パリにはまだまだ小さな美術館がある。今回行ったのはあと3つ。おそらくあまり知られていないと思われるのがドラクロア美術館。これはサンジェルマン・デ・プレの少し入ったところにあって、彼の最後に住んだ家と隣のアトリエが美術館になっている。

ドラクロワはルーヴルやオルセーに巨大な歴史画があるが、ここでは小さな肖像画やデッサンが中心だ。アトリエにはパレットやモロッコの旅行から持ち帰った土産品も置いてある。小さな気持ちのいい庭もあって、絵やアトリエを見た後にそこのベンチに座っていたら、19世紀にいるような錯覚を覚えた。
ここはルーヴル美術館と共通チケットなので、同じ日ならお金はかからない。一日ルーヴルを見た後に、15分ほど歩いてセーヌ川を渡ってここで夕方を過ごしたらどうだろう。

もっと知られていないのは、ジャン・デュビュッフェ財団だろう。これもドラクロア美術館と同じ6区にあるが、住所に行ってみると普通のアパルトマンのように扉が閉まっていて、「デュブッフェ財団」と書かれた表示を見つけて呼び鈴を押した。「はい」と普通の返事。「美術館を見たいのですが」と答えると「中庭の奥です」。広い中庭を横切ると、親切そうな女性が戸を開けて待ってくれていた。小さな建物だが、1985年に亡くなったデュブッフェのアトリエで、1階から3階まで絵や彫刻が30点ほど並んでいる。私は特に40年代や50年代のアウトサイダー・アートに近い絵が大好きだ。
ここでの観客は、私以外にはそれこそデュブッフェの絵に出てきそうな老婆が一人だった。

たぶん行った人が多いのは、16区の高級住宅街にあるマルモッタン美術館だろう。モネのコレクションで有名で少し前に上野でもその一部が展示された。企画展「マネと抽象美術」が開催中で、モネとその後の現代美術を並べるものだったが、最近東京で大規模なモネ展を見たこともあってあまり新鮮味はなかった。
むしろ常設の方に並んでいた20点ほどのベルト・モリゾの淡い色の繊細な絵が心に残った。印象派で活躍した女性画家で、みしろマネの絵に描かれたモデルとして有名かもしれない。彼女の描く絵は男も娘たちも風景もどこかもの悲しい。結婚もして子供もいたはずだが、マネとの関係は本当はどうだったのか、思わず考えてしまう。

パリを一人で散歩する時には、小さな美術館はお勧めだ。そこでは、慌ただしいパリとは別の時間が流れている。

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