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2010年9月 6日 (月)

ベネチア国際映画祭:その(3)

国際映画祭というのは、いわゆる巨匠の初上映作品をどれだけ集まられるかが、重要なポイントの一つだ。ベネチアもいつもベテラン監督の名前をずらりと揃えている。今年はこの数日でトラン・アン・ユンやソフィア・コッポラの新作を見たが、この2日間で、フランソワ・オゾン、イェージー・スコリモフスキー、ツイ・ハークといったベテラン監督たちの新作を見た。

一番おもしろかったのはオゾンの『ポティッシュ』La potiche。カトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドパルデューという大物二人を主人公に迎え、才人オゾンが1970年代後半のフランスを舞台に描く喜劇だ。
出だしはドヌーヴの朝のジョギングで、いかにも主婦然とした様子で現れる。まるでテレビドラマのように音楽は鳴りっぱなしでアフレコだし、いったい何が始まるかと思うが、いつの間にかドヌーヴが単なる主婦からどんどん変貌してゆく姿がテンポよく描かれる。セリフの応酬は、昔のハリウッド映画のようで小気味よい。夫役のファブリス・ルキーニのとぼけた演技もすばらしいが、彼は明らかにサルコジ大統領のパロディーだ。
最後まで見ていると感動で涙さえ出てくるから、本当にオゾンはうまい。ちょっとうますぎるかも。

スコリモフスキーの『エッセンシャル・キリング』Essential Killingは、期待していたほどではなかった。アフガニスタンで米軍に捕まった男が、輸送中に抜け出して逃走する姿を描いたもので、主人公を演じるのは何とヴィンセント・ギャロ。彼が雪の中を走りながらヘリコプターや犬に追われたり、飢えのためにアリを食べたりするのだが、どこか抽象的でリアリティに欠けている。ポーランドの前衛監督だったスコリモフスキーが、スターを使って現代の問題を撮ったらこうなったというところか。

香港のツイ・ハークの『狄仁傑と魔法の火』Detective Dee and the Mystery of Phantom Flameは、中国の女帝、則天武后の時代を描いたスペクタクルだ。この監督は『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』など20年以上前から香港のアクション映画を引っ張ってきたが、今回久しぶりに彼の映画を見ると、CGの使いすぎてかえって昔の作品より迫力がない。
人間の体の中から火が出てきて即時に死んでしまうという事件を解決するという話だが、長安の街やそこに作られている巨大な大仏を見ても、世の中にCGが溢れているせいかどこか既視感がある。

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