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2010年9月29日 (水)

ポルトガルの青春映画

どこの国にも青春映画はある。とりわけ1960年代前後に各国で作られた映画には、青春の歓喜と絶望を凝縮したような作品が多い。先日亡くなったフランスのクロード・シャブロルの『いとこ同士』(59)はそんな映画だった。イタリアならベルトルッチの『革命前夜』(64)か。現在フィルムセンターで開催中の「ポルトガル映画祭」で見た『青い年』(63)もその1本だった。

監督は、パオロ・ローシャ。後にポルトガル大使館員として日本に住み、『夢の浮島』を日本で撮ってしまう人だが、この映画にはもちろん日本の影はない。首都リスボンに出てきた19歳の青年ジュリオが年上の女性イルダと出会い、傷つき、最後には殺してしまうまでを淡々と描いた作品だ。

全編ロケの作品だが、唐突なカット割りが多かったり、突然音楽が流れたり、音も不自然だったりと稚拙な感じのする出来上がりだが、それが都会で彷徨う青年にピッタリで、見ていて思わずどきどきしてしまう。初めて手をつなぐシーン、慣れないダンスをするシーン、野原で水たまりに落ちたセーターを拾うシーンなど印象に残るショットがあちこちにある。特にラストで女を殺した後にバーに入るシーンは強烈だ。
そして、イルダを演じるイザベル・ルトの悲しそうな瞳は、忘れ難い印象を残す。

1960年前後は、フランスのヌーヴェル・ヴァーグを代表とする映画革新運動が世界的に起きた時代だ。彼らは撮影所を飛び出し、街角に出て即興でカメラを回した。そして自分たちの生き方を必死でキャメラに収めた。その成果が各地に残されており、ポルトガルにも最良の一本があった。
この作品はもうこの映画祭では上映されないが、フィルムセンターの所蔵なのでまたいつか上映の機会もあると思う。

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