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2010年9月25日 (土)

日本映画の便利な入門書

日本映画に関心を抱く外国人は多い。しかし日本に来てみるとみな途方にくれるようだ。会った人々は誰も小津や溝口を知らず、そもそも映画館でもどこでもまず上映していない。かつてはDVDやビデオもなかったから、雲を掴むようなものだったらしい。最近、そんな外国人に実に便利な本ができた。

Research Guide to Japanese Film Studiesがそれで、書いたのはアベ・マーク・ノーネスAbe Mark Nornesとアーロン・ジェローAaron Gerowという二人の40代(たぶん)のアメリカ人だ。少し面識があるが、二人とも日本語が完璧で、それぞれミシガン大学教授とイェール大学准教授。
何が便利かと言うと、映画や映画関係資料はどこにあるか、映画はどこから借りられるか、古書やDVDはどこで買えるかなど、具体的な情報が書かれていることだ。それぞれに日本語の呼称(日本語で印刷されている)、電話、サイトなどが書かれている。そのうえ、それぞれにいい点や利用の仕方まで書かれている。
その後に来るのは、映画研究の基礎文献の紹介だ。まずはBestに重要な本を挙げ、Restにはそのほかの本を挙げて、一つ一つについて解説がある。例えば映画事典の項では最近出た『世界映画大事典』をThe Best of the Bestとして取り上げ、「欧州中心の英語圏の映画事典の誤りを正す本」として紹介する。
実を言うと、日本語でも研究者向けの初歩としてこんな便利な本はない。

わずか200ページにも満たない本だが、英語で書かれているため日本語ができなくてもこれを読めば、とりあえず日本映画研究の糸口がわかるというものだ。外務省や国際交流基金はこの本を大量に購入して、海外の主な図書館や日本研究をしている大学に送ったらどうだろうか。

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