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2010年9月 5日 (日)

ベネチア建築ビエンナーレに足を延ばす

ベネチア国際映画祭に行く時は、必ず美術や建築のビエンナーレにも足を延ばす。映画祭も運営は美術や建築と同じくビエンナーレ財団で、その映画部門が映画祭。美術と建築はリド島ではなく、ベネチア島のジャルディーニとアルセナーレという2会場を主に使って、1年ごとに交互に開催する。今年は建築の年で、総合ディレクターが何と日本の女性建築家、妹島和代だった。

通常、「建築の展覧会」というのはおもしろくない。美術のための空間で建築を見せようとすると、だいたい図面か模型か写真か映像になってしまう。本物の建築を見る楽しみはない場合がほとんどだ。国別のパビリオンがあるジャルディーニ会場は、おおむねそんな感じだった。
日本館は塚本由晴、西沢立衛の両氏による展示で、有機体に部屋が連なってゆく日本的空間の模型は、そのなかにあってはかなりおもしろかった。地下の空間とつながるところもうまい。個人的には2年前の石上純也氏の展示の方が好きだったが。
あと記憶に残ったのは、真っ白な部屋の中に白い建築を建てて覗く形にしたルーマニア館か。

アルセナーレ会場は、古い造船所跡をそのまま使っているので、建物の内部を見ているだけでおもしろい。今回の展示は、そこを可能な限り区切らずに、空間の裸形をそのまま使ったものが多かった。
金獅子賞を取った石上純也氏(2年前の日本館代表)は、そこに細い針金のようなプラスチックの線で空間の枠を作っただけのミニマルな作品で、既に作品は半分壊れていたが、十分にコンセプトは伝わってきた。
ほかの展示も、水と光を使ったり、会場内に霧を発生させたりといろいろな工夫があって楽しい。
一番良かったのはジャネット・カーディフの40台のスピーカーを使った作品で、ルネサンス期の合唱曲を一つのスピーカーが一つの声を出すというもので、座って聞いていると飽きない。彼女は建築家ではなく現代美術作家で、この作品は銀座のエルメスで昨年展示していたものだが、エルメスのガラスの空間より、造船所跡の方が何倍も曲にあっている気がした。
水と光の作品も、数年前に原美術館で個展をやったオラファー・エリアソンという現代美術作家のものだ。空間を埋めるには建築家だけでは難しいので美術作家の力を借りてきた感じか。

映画ばかり見ていて急に展覧会を見ると、脳の別の場所を刺激するようで気持がいい。特に現代美術や建築展はコンセプト勝負なので、物語を語ることからしか始まらない映画とは全く次元が違う。そのうえ映画は座ったままだが、展覧会はひたすら歩くので体にもいい。

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