« パリで見るカンヌ受賞作 | トップページ | パリで「ビストロ」を考える »

2010年9月12日 (日)

パリの小さな美術館

何度も行ったルーヴルやオルセーのようなパリの大美術館には今回はなぜか行く気がせず、ふと思いついて小さな美術館を回ることにした。大半は前から名前だけ知っているが、一度も行ったことのない美術館だ。

クリュニー中世美術館は、ソルボンヌ大学のそばにあっていつも外から見ていたが初めて入った。中は予想以上に広くて、「小さな美術館」とは言えないかもしれない。日本の普通の公立美術館より広い。中世の修道院の建物をそのまま美術館にしたもので、12世紀から16世紀ぐらいまでのキリスト教彫刻やタペストリーが並んでいる。有名な「処女と一角獣」の大きなタペストリーも一室が設けられている。
驚いたのはフランスのみならず、イタリアやスペインやオランダなどの作品もあることだ。気にいったのは、13世紀初頭のトスカーナの木彫りのマリア像と聖ヨハネ像。ちょっと首を傾けて片手を挙げた素朴な姿に見入ってしまった。
ちょうど前日に『人々と神々と』という修道僧の映画を見たばかりだったのでリアルに感じたし、中世のタペストリーにはよく植物や動物が出てくるのを見て、『ブンミおじさん』も思い出した。

次に行ったのが、モンパルナスのカルティエ財団。ここは現代美術を展示するところで、クリュニーのようにコレクションを楽しむのではなく、毎回が企画展だ。今までに何度も行ったことがあるが、今回は北野武の展覧会Gosse de peintre Beat Takeshi Kitanoを見た。「絵描き小僧」という題名で、平日の昼間にもかかわらず異常に混んでいたことに驚いた。特に子供連れが多い。
たけしのテレビ番組は、フランスでも放映されているから子供が多いのだろう。展示品も、子供でも楽しめる動く作品が多い。そうでなければ過去のテレビ作品を映写したり、あるいは今回のために新作の映像を作ったり。最近の絵画も並んでいるが、これもある種子供っぽい絵だ。
実を言うと私にはさっぱり面白くなかった。ここで見た映画監督の展覧会でも、見応えのあったデヴィッド・リンチの展覧会とは大違いだ。
この展覧会は、日本では美術館はおろか百貨店でもできないだろう。フランスでは映画監督としてのステイタスと子供向け番組の人気を利用して、子供向けの冗談をを現代美術として見るというカルチエ財団らしいスノッブなアプローチで成立したのだろうが。

|

« パリで見るカンヌ受賞作 | トップページ | パリで「ビストロ」を考える »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/49414963

この記事へのトラックバック一覧です: パリの小さな美術館:

« パリで見るカンヌ受賞作 | トップページ | パリで「ビストロ」を考える »