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2010年10月 7日 (木)

好きになれない映画特集:2010年秋編

当然だが、好きになれない映画もある。しかし大半は試写で見せてもらっていることもあり、さらにこのブログは(一応)匿名なので悪口を書くのもどうかと思っていた。でも「物言わぬは腹ふくるるわざなり」という言い回し通りどうも落ち着かないので、せめて上映が始まった映画については、ここにまとめて書く。

『メッセージ そして、愛が残る』
死を予知された人間の生き方という物語の設定はおもしろいのだが、映画を見ながらいったい何を言いたいのか、最後までわからなかった。そのうえ、フランス人特有の自分中心の心理劇が出てきて辟易する。予知する医師のケイを演じるジョン・マルコヴィッチだけは見事。フランス人がアメリカで暮らすという設定も必要だったのかどうか。読売新聞で泉田友紀記者による絶賛の評が大きく載っていたのに驚いた。

『スープ・オペラ』
阿川佐和子原作の小説を青木研次が脚本化した映画だが、話の設定はおもしろいのに、童話的内容を大げさに演じさせる瀧本智行の演出が好きになれなかった。主人公の坂井真紀(ルイ)を始めとして、急に若い男と結婚する叔母役の加賀まり子、実はルイの父親の藤竜也、バイトのニコニコ青年役の西島隆弘などそれぞれうまいのだが、いかにもいかにもという類型化が鼻に付いてしまった。
ただ、鳥ガラと野菜のスープは実においしそうで、自分でも作ったらおいしかった。

『シングルマン』
映画はファッションではない。ファッション・デザイナーが作った映画だから言うのではないが、この極めて繊細でナルシスティックに作られた映画を見てそう思った。ちょっと80年代的な美学に満ちた映画なので、好きな人は好きだろうなと思う。朝日も読売も大きな評を載せていた。

『小さな村の小さなダンサー』
これに感動する人は多いと思う。貧しい中国の農村を舞台にしたメロドラマだが、バレエもじっくり見られる。本物のダンサーが演じているから、細部がリアルだ。
気になったのは、西洋の文化的偏見のまなざしが充満していることだ。まずリーがヒューストンに着いた時にきょろきょろする様子。リズと恋人になってセックスに戸惑う場面もそうだ。あるいは両親が米国に招かれ、息子の舞台に上がる時のおどおどした様子。こうして先進国の観客は、中国の後進性を見せられて、安心するのではないか。気にならない人は気にならないだろうけど。

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