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2010年10月17日 (日)

新シネフィル時代か

先日、東京国際映画祭の関係者に会ったら、「今年は《ワールド・シネマ》で選んだ映画がかなり買われている」と話していた。東京フィルメックスの友人も、「今年はコンペ作品の配給が決まっているものが多い」という話だった。洋画の不況が広がってもう数年になるが、いったい何が起こっているのだろうか。

渋谷のイメージ・フォーラムが最近盛況だという。『アンナと過ごした4日間』や『シルビアのいる街で』のような渋い映画が当たっているらしい。その2本は、かつて東京国際映画祭で話題になったが売れなかった作品だ。買ったのは、作家主義的なビデオを出し続ける紀伊國屋書店。そういえば、映画館のシネマライズが、今年のカンヌでパルム・ドールを取ったアビチャッポンの『ブンミおじさん』を自ら配給するらしい。去年のフィルメックスで話題になったペルー映画の『悲しみのミルク』は、何と川崎アートセンターという団体が買ったらしい。

どうもコアな映画は、配給会社ではなく、ビデオ会社や映画館、あるいは非営利団体が買う時代になったようだ。そういえば、非営利の上映団体を取りまとめているコミュニティ・シネマ・センターがフィルムセンターで開催した「ポルトガル映画祭2010」は異様な混雑ぶりで、満員が何回も出たらしい。イタリアやフランスの新作映画祭ならわかるけど、ポルトガルの旧作を中心にした映画祭がこんなに込んでいるとは。

ここ数年、配給会社がつぶれ、外国映画の配給本数が激減して1980年代の「ミニ・シアター・ブーム」以前の状況に戻ったと思っていたが、ここへ来て状況が変化しているような気がする。
数日前にアン・リーの新作『ウッドストックがやって来る』(傑作。感想は後日!)の試写に行ったら、ほかにコーエン兄弟とサム・メンデスの新作を連続上映し、「監督主義プロジェクト第一弾」と銘打たれていた。DDP(Director's Driven Project)という英語まで付けてある。こちらは新しくできた配給会社の企画だが、「監督主義」と名付けるところが時代に逆らっているようで、何とも嬉しいではないか。最近は映画の買値がずいぶん下がっているらしいから、逆にこんなことも可能なのだろう。

80年代から90年代にかけてのシネフィル黄金時代が、形を変えて21世紀に甦る可能性が見えてきた。もっとプッシュが必要だが、どこをどう押したらいいのか。

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