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2010年10月28日 (木)

ザガットの勝利

料理ガイドの「ザガット」が送られてきた。同じような形の「ムービー・ガイド」も同封してあった。そこにはたくさんの回答を寄せた人には、感謝のために「ムービー・ガイド」も贈るという趣旨のことが書かれていた。
私は10年ほど前からザガットの調査に参加している。かつては膨大なリストにコメントを書きこむ形式だったが、最近はネット上で書けるようになり、便利になった。参加すると翌年分が1冊タダでもらえるのだから、実にありがたいシステムだ。

このガイドのおもしろいところは、わずか5行に読者からのコメントを詰め込んでいることだ。例えば私が好きな神楽坂のフランス料理「ラ・マティエール」は、「火の入り具合が絶妙」とか「席間の狭さが難」などの引用からなる。あくまで客の側から見た意見があって実に役に立つ。私は自分のコメントが載っているかを探すのも楽しみなので、あえて個性的な表現でコメントを書くことにしている。

「ミシュラン」などの既成のグルメガイドは料理評論家がセレクションをしてコメントをするものだが、こちらは一般客のコメントの混ぜ合わせだ。私は映画や美術や音楽だとその道の専門家の意見は役に立つが、料理に関してはお金を払って利用した人々の意見の方が正しいと思う。実際にミシュランの星付きでがっかりしたことは何度もある。どうも料理店と料理評論家の関係は怪しい。
あるいは料理はアートと違って、あまりにも人間の生そのものにかかわっているから評論を受け付けないのかもしれない。アートの世界は、プロの評論家が開拓することで、無限の広がりを見せると思う。評論家にもよるけれど。

もう一つこのガイドがすばらしいのは、掲載店の多さだ。2011年版で何と1328店が掲載されている。ほかのガイドはせいぜい200から300。この情報量の多さは、決定的だと思う。それに毎年新しい店が何十も加わっている。だから自分がおいしかった店を探すと、たいてい載っている。

実は数年前にザガット夫妻に会ったことがあるが、何とも気さくな人々だった。もともと弁護士で暮らしていたが、友人たちと食事をしている時にこのアイデアを思いついたらしい。その後友人たち数十人にアンケートを送って、それをまとめたものを綴じてまた友人たちに送り返したら、大いに受けた。それが出版につながったという。いかにもアメリカらしい、驚異的なシステムである。

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