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2010年10月25日 (月)

東京国際映画祭:その(2)最初の週末

土曜日から東京国際映画祭が始まって、あの不愉快な六本木ヒルズのあちこちを奴隷のように動き回る日々が始まった。初日は別の用事があって、夕方のオープニング上映の『ソーシャル・ネットワーク』(招待作品)のみ。2日目は、アメリカ映画『ジャック、舟に乗る』(ワールド・シネマ)、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(日本映画 ある視点)、フランス映画『サラの鍵』(コンペ)の3本を見た。全体的にはそれなりに見ごたえがあった。

『ソーシャル・ネットワーク』は、ハーバード大学の学生が学生寮の片隅で「フェースブック」を作り上げてゆく物語。彼が失恋の痛手からソーシャル・ネットワークを次々に作り出す様子を、数年後にかつての仲間たちに訴えられているシーンと交互に描く。たたみかけるような編集と音楽はすばらしいが、見ていると神経が疲れるせいか、オープニングのためのタキシード姿の老人たちが途中で出て行くのが目立った。

『ジャック、舟に乗る』は、俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンの初監督映画。自らデブで間抜けな中年男ジャックを演じるホフマンのさりげない演技がいい。ほかの俳優もちょっとした仕草や目の動きですべてを表すような繊細な演出で、二組の大人の男女の愛の駆け引きを描く。どうでもいいが、ジャックの恋人コニーが"Sorry, I am not ready for penis penetration"と言ったのにはどきりとした。あるいは彼女の言う"Overpower me"とか"Overcome me"というセリフのリアルさにも。
この俳優は、今後ウディ・アレンのように監督・主演ができるはずだ。それにしてもこんないい映画が、まだ配給が決まっていないなんて(配給会社の方へ:セールスはセルロイドです)。

『サラの鍵』も、まだ配給が決まっていない。こちらは、1942年にフランスで何万人ものユダヤ系フランス人が、ナチスの収容所に送られた事件を追うアメリカ人女性ジャーナリストを描く。現代と1942年を交互に描く手法は大げさな大河ドラマのようだが、迫力のあるリアルな映像とサスペンス仕立てとメロドラマで、最後まで引っ張ってゆく。とりわけジャーナリストを演じるクリスティン・スコット・トーマスがいい。彼女は過去や謎を抱えた中年女性を演じるとピカ一だ。
1942年に収容所から逃げて生き抜く少女を演じるメシュリーヌ・マイヤンスや、彼女を引き取る父親役のニエル・アレストラップなど、周りの俳優たちも揃っている。これはまず日本公開が決まるだろう。

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、私は退屈した。10年前に監禁された経験を持つ高校生の男女が、殺人や児童監禁に及ぶ姿をシュールに描いたものだが、110分は長すぎる。30分の映画ならそれなりに新感覚を楽しめたのだが。

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