ゴッホに息を飲む
六本木の国立新美術館で始まったばかりの「ゴッホ展」を見た。ゴッホの油絵38点、版画・素描32点と点数が多いわけではないが、《アルルの寝室》など有名作品が揃っており、一緒に展示されている彼の同時代の画家たちの作品約50点も極めてレベルが高い。特に後半の狂ったようなタッチの絵に息を飲んだ。
まず入るとゴッホの自画像がある。中盤にももう1点あって、それだけで嬉しくなる。ゴッホの自画像は世界中にたぶん30点くらいあるが、日本には1点もない。画家の自画像はどれも興味深いが、とりわけゴッホの自画像は自らの狂気の跡が克明に表れていて、見ていて飽きない。
《アルルの寝室》は例の赤い床、黄色のベッド、青い壁を描いたもので、オルセーのものより少し大きく、こちらが最初の作品だ。会場にはその部屋が再現されていて笑ってしまった。ほかにも、静物、風景画など点描とうねるような線で描かれた作品が並び、見ていると次第に頭が混乱してくる。
おもしろいのは、ゴッホの絵がロートレックの絵のそばに並ぶとロートレックのように見えてくることだ。ゴーギャン、スーラ、ミレーなどみんなそうで、同時代の作品と呼応しながら描いていった跡が見えてくる。
この展覧会はオランダのゴッホ美術館とクレラー・ミュラー美術館の2館からのみの貸し出しだが、ことゴッホに関してはこの2館でも十分に成り立つ。あえて国内にあるゴッホ作品は含まれていないが、この2館からの名品だと国内の小品はない方がいいだろう。
3年前にモネ展、2年前にコロー展、去年はルノワール展があった。それぞれこれまでにない出品点数だった。そして今年は既にマネ展とオルセーのポスト印象派展があった。この展覧会と横浜で開催中のドガ展を見たら、もう印象派は制覇した感じになるのではないか。先日パリのマルモッタン美術館でモネを見た時も、妙に既視覚があって興味がわかなかったことを思い出した。
「ゴッホ展」は12月20日まで、1月に福岡、2月に名古屋に巡回。
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