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2010年10月16日 (土)

キューブリックを「理解不能」と書いた朝日新聞

朝日新聞と読売新聞には、創刊からの記事を検索で読めるサービスがある。もちろん有料で個人でも加入は可能だが、大きな図書館では無料で使うことができる。活字時代の新聞がPDFの状態になっているだけだが、これがやってみると実におもしろい。たまたま必要があって「2001年宇宙の旅」を検索したら、朝日からとんでもない記事が出てきた。

封切りされたばかりの1968年5月1日付の記事で、見出しは「話の筋まで無重量」。はじめは「本格的な宇宙時代を告げる本格的な見せもの」などと書くが、途中からは批判ばかりになる。「機械と人間の対立を描くこのあたりが、物語の上での唯一のおもしろさ。それから先のお話はちんぷんかんぷんで、これほど理解不能の映画もめずらしい。……その映像化は失敗に終わっているというほかはない。……いくら宇宙のナゾとはいえ、行方不明の映画は困りもの。子供を連れてゆくと、親は質問攻めにあうこと間違いない」。

今ではSF映画の古典と言われる作品が、当時はこれである。この記事には署名がないが、よほどわからなかったのだろう。
検索では広告もひっかかるが、それを見るといつも「親子連れでどうぞ」というキャッチが使われているの。この記事を読んだ配給元のMGMは、さぞ怒っただろうなと考えるのも楽しい。

読売の68年4月19日の記事は「見事なスぺクタクル」という見出しでベタボメの記事だが、妙に科学的な説明が多い。署名を見ると「科学部・野沢記者」とあって、文化部ではなく、科学部の記者が書いたことがわかった。文化部の映画記者は、朝日と同じく「ちんぷんかんぷん」だったのだろうかと想像してしまう。

当時の映画や芸能記事が、朝日も読売も夕刊のラジオ・テレビ欄の下にあったのにも驚いた。ちなみに当時は監督のキューブリックはカブリックと書かれている。

いまでは「ちんぷんかんぷん」と書くような勇気のある映画記者は残念ながらいないが、将来検索するととんでもない記事が出てくるのではないだろうか。

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