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2010年10月13日 (水)

国立美術館のコレクションを楽しむ

六本木の国立新美術館で「陰影礼讃」展を見た。これは東京の東京国立近代美術館、国立西洋美術館に関西の京都国立近代美術館、国立国際美術館の所蔵作品の中から、「影」をテーマに選んだもの。「陰影礼賛」という谷崎を思わせる題名からもっとおどろおどろしいものを想像したが、もっと気楽な「光と影」展くらいの感じか。展示にあまりストーリーやドラマは感じないが、それゆえに西洋美術と日本の洋画や日本画、現代美術などが自由に組み合わせてあって見ていて飽きなかった。

例えばクールベやモランディの後に並んでいる坂本繁二郎の《林檎と馬鈴薯》はまるでセザンヌのように見える。あるいは安井曽太郎、モネ、黒田清輝の風景画と並んでも、全く自然に見える。日本人が西洋美術を学んだのは事実だが、ある種同時代的な精神もそこから見えてくる。

その後の写真や現代美術になると西洋も日本もない。最近の宮本隆司や畠山直哉の廃墟のような写真の迫力は、西洋にも類を見ないだろう。ちなみにこの2人の所蔵は国立国際だ。
そして高松次郎の《影》はやはりすばらしい。下絵も展示してあって、これが緻密に計算されたものであることがわかった。これも国立国際のコレクション。
最近の作家では、秋岡美帆の3点と丸山直文の絵画に心を動かされた。現代美術でもあえてコンセプチュアルなものは避けて、平面の表現に絞ったセレクションが良かったと思う。

10月18日までの開催。国立4館は同じ独立行政法人になったのだから、作品の入れ替えをしたらどうだろう。例えば東近美は明治から敗戦までの洋画、国立国際はそれ以降の現代美術と写真、京近美は日本画と工芸、西洋美は外国美術にして入れ替えたら常設展も特徴がくっきりするだろう。日本画を見たければ京都に行け、とかいいと思うが。

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