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2010年10月 4日 (月)

ビクトル・エリセの本

少し前のことだが、「紀伊國屋映画叢書2」として出された『ビクトル・エリセ』が送られてきた。筆者の一人が知り合いだったからだが、映画の本が売れないと言われて久しいのに、よくこんな本が出せたと思う。いまどき「映画叢書」などというシリーズを出すなんて信じられない。

先日大きな書店を歩いていて、このシリーズ三冊を見つけた。1は『イエジー・スコリモフスキー』、3は『ヌーヴェル・ヴァーグの時代』で、編集はすべて遠山純生氏。彼は「エスクァイア・マガジン・ジャパン」でe/mブックスとして映画の本をシリーズで出していたが、そこがつぶれたので今度は紀伊國屋書店という別の出版社を見つけたのだろう。考えて見たらスコリモフスキーの『アンナと過ごした4日間』は紀伊国屋書店のDVD部門の配給だし、エリセのボックスもそこから出ている。ヌーヴェルヴァーグ関連のDVDも多い。これはリンクしているのだろうか。

今回の本がいいのは、あくまで日本人の視点から作られていることだ。例えば金谷重朗氏は今年の7月に会って、2003年に東京で開かれた溝口健二国際シンポでのエリセでの発言をもとに、「映画とオーディオビジュアル」の違いについて聞く。このインタビューの終りにエリセは、自宅でDVDを見ることは「複製でのみ絵画を鑑賞するようなものだ」と言う。
あるいは、2003年に来日した時に広島で彼と四日間を過ごした宮岡秀行氏は、その体験を写真と共に語っている。世界平和記念聖堂の中で祈ったり、スケッチをする初老の男性をビデオカメラに収めたり、子供と遊んだりする日常の写真がいい。

私もエリセとマドリッドで会ったことがあるが、まずメールに返事などくれないし、会う直前になってようやく連絡をくれるような人である。会ってみると温かい人柄なのだが。こんな人を相手に本を作るのは、さぞ大変だっただろうと思う。

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