ガウディ、伊東豊雄、ピカソ
用事でバルセロナに数日滞在することになり、空いた時間を見つけて市内を散歩した。前に訪れたのは26年前のことだ。どこに泊まったかも記憶がないが、一泊してピカソやミロの美術館、ガウディのサグラダ・ファミリア聖堂を訪れたことを覚えている。今回もとりあえず同じ場所を訪ねてみた。
意外にがっかりしたのが、サグラダ・ファミリア聖堂。コンクリートの部分はどう見ても美しくない。ちょうどローマ法王訪問の直前ということもあって、急な工事や清掃でとてもゆっくり見られない。昔は3、4人がこつこつ作っていたのに、今や百人くらいは働いている。30分列を作って12ユーロ払って入ったが(昔は無料)、30分もいなかった。彼の建築の曲線や造形のおもしろさは、むしろ外から離れた方がよくわかると思う。かつてはなかった地下の資料室にも入ったが、特に見るべきものはなかった。
ガウディといえば、泊まっているホテルが赤いとうもろこしのようで、ガウディ風だ。調べてみたら、できたばかりで伊東豊雄氏の設計だった。トイレやシャワーをすりガラスの壁にし、クローゼットまで可動式にしていて仙台メディアテークみたいだが、それがホテルに向いているかどうか。トイレの音が室内に聞こえすぎるのは、同伴者がいたら困るだろう。
昔より何倍も楽しめたのが、ピカソ美術館。たまたま「ドガを見るピカソ」という企画展をやっていてこれがおもしろかった。踊り子や娼婦など二人が同じテーマで作った作品を並べたものだが、ピカソのずらし方が抜群にさえている。またドガの絵も、ピカソと並べるとさまざまな可能性をはらんでいるように見えてくる。ドガの作品は米国を中心に、多くの美術館から集められている。帰国したら早く横浜美術館のドガ展を見に行かねば。
ピカソ美術館の常設展でも、ベラスケスの《侍女たち》を模倣した下絵がいくつも並んでいておもしろかった。それらを見ながら、5年前にマドリッドのプラド美術館とレイナ・ソフィアの2館で開催されていた「ピカソ:伝統と革新」展を思い出した。これはピカソの絵をベラスケス、ゴヤ、マネなどの絵と同時に見せた展覧会で、伝統を模倣しながらすべてを自分流に読み変えた、ピカソのたくましさを見せつけられた記憶がある。
それにしても、海と山に挟まれたバルセロナの街の心地良いことといったら。この開放感はほかの欧州の都市にはない。
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