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2010年11月22日 (月)

東京フィルメックス:その(1)東京国際からわずか3週間後で

今年も東京フィルメックスが始まった。東京国際映画祭が終わってからわずか3週間後というのは、見る側にとってはいかにも慌ただしい。作品もなぜこれがフィルメックスか、東京国際の方がよかったのでは、などと思うものがあったりして、ここ数年、微妙な感じになってきた。

例えば今年のカンヌのパルム・ドールを取った『ブンミおじさん』はフィルメックスのオープニングで上映されたが、2等賞のグランプリ『神々と男たち』は、東京国際の「ワールドシネマ」部門での上映だ。『ブンミおじさん』のアピチャッポン監督の作品は従来からフィルメックスが上映しているからだろうが、カンヌを仲良く分けていてどうする、という感じはする。

日曜に上映されたのジャコ・ヴァン・ドルマル監督の『ミスター・ノーバディ』は、おもしろかった。2092年が舞台で、120歳の老人がジャーナリストの質問に答えながら生涯を振り返るというもの。人生のいくつかの分岐点で「もし違う道を選んでいたら」というのは、誰にでもある。その可能性をすべて映像で見せ切った大作で、1996年の『八日目』以降沈黙を続けていたジャコ・ヴァン・ドルマルが、新たな飛躍を見せた感じがする。
もしあの列車に間に合っていたら、というのはキェシロフスキを思わせるが、その場面の演出だけで涙が出そうになる。ブロンドのエリス、褐色のアンナ、アジア系のジーンの三人との出会いと別れなど、決定的な場面に流れる音楽もいい。SFの未来都市や宇宙船の場面もなかなかよくできている。
ハリウッド映画にもありそうな大きな構えの映画で、これはなぜフィルメックスなのかという疑問もわく。野心作だが新しい地平を開く映画とは言い難い。むしろ東京国際向きだろう。

同じく日曜に見た『夏のない年』は、マレーシア映画だが、タイのアピチャッポンを思わせる作風だ。大自然の前でぼそぼそ話す人々。たいした物語はない。夜の海辺の3人の男女に始まって、ボートに乗って3分間潜ったり、あるいは森の中で木を切ったり。いかにもアジア的神秘を汎神論的に語る映画で、たぶんフランスなどでは受けるだろう。映像も美しいし、いいのだけれど、だからといって、という思いは残る。
いずれにしても、これは従来からのフィルメックスらしい作品だ。

これから1本ごとに、「これはフィルメックスにふさわしいか」と考えそうで、妙な感じだ。

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