ゴダールのパワーに驚く
オリヴェイラが今年12月で102歳と言うが、ゴダールだって同じ12月に80歳になる。彼の新作『ゴダール・ソシアリスム』を見たが、相変わらずのパワーに驚いた。資本主義という20世紀の魔物に向かって、徒手空拳で戦いを挑んでいるかのような感じなのだ。
最初に白と赤の文字でクレジットが出てきて、黒地に赤でFilm Socialismeと題名が映る。いつものゴダール流だが、シンプルで美しい。物語らしい物語はない。第一楽章が豪華客船の中のさまざまな会話。エジプト、パレスチナ、オデッサ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナへと船は(たぶん)進む。
どうも事件を追う刑事がいて、その鍵を握っているような老人がいる。世界中から来た観光客の醜さ。あるいは誰もいないホールで講演をするアラン・バディウ。少年と少女。引用される『戦艦ポチョムキン』を始めとするさまざまな映画。どうも20世紀の侵略の歴史を振り返っているようだ。スペイン内戦、欧州とアフリカ、ユダヤとアラブ、ソ連と少数民族。
第二楽章は、ガソリン・スタンドのマルタン一家に、テレビの取材が訪れる。バルザックの『幻滅』を読む女性。
こちらはフランスの歴史を振り返っているのか。
第三楽章は再び船に戻る。20世紀の歴史のみならず、人類の歴史まで振り返る。しかしそこにはアジアの歴史はない。ゴダールにとっては、アフリカや中東が限界だ。唯一アジアへの言及は「カミカゼというのは日本語で神の風という意味よ」という女性のセリフか。
旅の最後はバルセロナだが、これはどういう意味なのだろうか。バルセロナに行ったばかりなので気になる。
12月18日公開。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 『ウォーフェア』の見せる戦争(2026.02.11)
- 『恋愛裁判』の安定感(2026.02.07)
- またアメリカの実験映画を見る(2026.02.03)
- 「構造映画」を見る(2026.01.28)


コメント