上海に行きたくなる映画
2月初旬公開のワン・チュエンアン監督『再会の食卓』を見た。先日東京フィルメックスで見たばかりのジャ・ジャンクー監督の『海上伝奇』と同じく、「上海」そのものがテーマの映画だ。古い戸建てが並ぶ地区の向こうに高層ビル群がそびえたつ光景を見て、無性に行きたくなった。
『海上伝奇』が、多くの人々へのインタビューという形で上海の歴史を想像力で浮かび上がらせているのに比べると、『再会の食卓』はわかりやすい。国民軍兵士で台湾に渡った元夫が40年ぶりに上海に戻り、元妻とその家族と会うという設定だ。
最初のシーンで元夫の手紙が読まれるところから、涙が出そうになり、彼がタクシーから降りてかつての妻に語りかけるシーンで、もう涙ぼろぼろだ。何度も家族が集まる食事のシーンがあり、いかにも中国的な泣き笑いのメロドラマを、いかにもといった俳優たちが演じるさまは少しくどいけれど、脚本も撮影もしっかりしていて最後まで飽きさせない。
『再会の食卓』を万人向けのオモテ面の上海だとすると、『海上伝奇』は玄人向けのウラ面の上海かもしれない。現代の上海の風景も、『再会の食卓』が過去と現在の上海を明確に見せるのに比べて、『海上伝奇』でチャオ・タオが歩く街並みは、より複雑で陰影に富む。
こうした映画を見ていると、中国は、日本が戦後何十年もかけてきた都市の近代化を、わずか10年あまりで一挙に成し遂げているようだ。早く行かないと、すぐ日本以上にツルツルの街になってしまうかもしれない。
どうでもいい話だが、元夫を演じる俳優が某映画会社社長のSさんにそっくりだ。目を細めた表情まで似ている。まだ誰も話題にしていないようだけれど。
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